カウンセリングを受けている一人、アイさんのケースを今まで20回に渡って内容を公開してきましたが、少しずつ前進されている様子が伺えます。(アイさんには了承を得ています)
今回はアイさんの21回目の面談。現在、低体重でドクターストップにより休職中。拒食、過食嘔吐を乗り越え、体重増加を少しずつ許しながら、なんと自力では生理が来ました。
現在、復職を早めたい自分と、認めない主治医の間で、悶々とする日々を送っていらっしゃいます
今までの歩み
- 休職中なのに体重を増やせない
- 病気と共存するのではなく、完治させる
- 先取り不安をやめ、いいイメージをして一歩ふみだす
- 嘔吐をするために過食をしない
- 一人でお酒を飲むのを辞める
- 自分のことを大切に思わない人とは会わない
- 凸凹を繰り返して克服へ向かう
- 何年かぶりに生理が来た
- 見栄をすて、甘え・頼ることができた
- 30kgを超えたから復職したい
- 復職を許可しない主治医
- スイーツしか食べたくない
- 栄養バランスのいいものしか選べない
- 総カロリーが足りない
- 食事と運動は切り離して考える
- 体の回復の次に、心の回復がある
- 過去の傷に向き合う
- 相手を許せなくても自分を否定しない
- 白米を食べたくない
- 過食嘔吐をする裏には理由がある
今週の様子
実は前回、初めてカウンセリングをお休みされました。理由としては、過食嘔吐が再発してしまい、カウンセリングができる精神状態ではないとのこと。一応、この一週間ぶんの報告をいただきました。
【前回立てた目標について】
・「苦しい事や悩み事を親しい人に相談する」
⇒暗い事や重い事を相談するのは相手の負担になると思い、相手の生活に割り込んでまで自分の事を相談するのは良くないと考え、連絡出来ない。
・「過食嘔吐してしまっても自分を責めない」
⇒良くない事だと分かっているので、多少反省したり後悔はする。今は少し自棄になっていて、どうでもいいと感じている。
【現状経過について】
・前回のカウンセリング以降、過食嘔吐は2回行った。
・先週の日曜日以降は飲酒や過食嘔吐する事はなく、普通の食生活を継続出来ていたがこの日曜日に会社に出向く用事有り、その帰り際にちょうど退社する他部署の社員(と出くわし、挨拶と少し立ち話をして相手の愚痴の聞き役になった。
「ずっと来てないけどいつから来るの?どっか異動になったの?それとももう辞めるの?」と無神経な言葉や、いつもはもっと落ち着いて聞き役になれていた相手の愚痴、忙しいアピールにもイラついて余裕がなくなってきた。
更に、自分が所属していた部署について一番聞きたくなかった話を聞き、苛立った感情と聞いた話のショックが重なり、心が乱され飲酒、過食嘔吐した。
翌日も感情の乱れが治まらず、2日続けて過食嘔吐している。
・相手が教えてくれた内容は、わたしにとってはとてもつらい事で、心が追い付かず鬱気味になっている。
自分の休暇がここまで長引いた為なので自業自得、会社が決めた事で仕方の無い事だとは理解し、受け入れて気持ちの整理を付ける様に努めてはいますが、考えれば考える程に受け入れたくないと、泣いてしまいます。
自分の気持ちを落ち着かせるのに、少し時間がかかりそうです。
可能であれば、明日のカウンセリングをキャンセルさせて頂いても宜しいでしょうか。
そして、なんとか今週は気持ちを立て直し、カウンセリング前に、アイさんから過食嘔吐が悪化した原因の報告をいただきました。
【病状が悪化した原因について】
わたしの勤め先は新卒ではなく中途採用の場合、その人の年齢、学歴や前職等の経歴に応じて採用された時点で役職を与えられ入社するケースがある。
「アイさんの課に、若い男性が主任として入ったよ」
男性社員から聞かされたこの一言に、激しい衝撃を受けた。
わたしは10年以上この会社に勤めてきた。
わたしは10年以上勤めてもまだ班長どまり、今は療養休暇を続けていて、その間に新入社員が入った。
わたしが届かなった主任の座をゼロ地点で与えられて、わたしが戻るはずだった、目標としていた場所へ入った。
欠けた人材の補充は必須で、わたしが休んでいる以上誰かがその穴埋めに充てがわれる事は覚悟の上、新入社員が入ったという事も納得は出来た。
それでも「主任」というのがどうしても受け入れられなかった。
色んな苦しい事を抱えながらでも必死に勤め続けてわたしが目指していた所に、どうしてその人は最初から成っているのか。
いくら高学歴だろうと前職がどうだろうと、この会社ではまだ成していないのに。
わたしのこの10年以上のキャリアは?どうしてゼロからの人が主任?今までのわたしの努力は?新人の年齢や経歴などで潰される程度のものだったのか?
自分の存在がまるで無視されている様に感じ、会社へ対し憤りさえ感じた。
わたしの心は大きくかき乱され、一気に衰廃した。
もう自分の居た場所には、わたしより優秀な新人、立場も上の主任が居る。
体を回復させ健康な心身、新しい自分として同じ課への復職、向上心を携えまた仕事に励む事を目標としていたが、それが無くなった。
目標を失い、復職にも療養にも失念した。
まだ事態に心が追い付かず、気が塞いでいる。
今週のカウンセリング内容
現実逃避の矛先が飲酒、過食嘔吐に向いてしまい先週から3日連日や、やらないと思っても一日置きに飲酒と過食嘔吐を明け方まで繰り返しています。
昨晩もまた、夜通し今朝方まで行ってしまいました。
今は鬱気味で不安定な状態が続いています。
主治医にだけは相談しました。
受けたショックが精神や生活に影響するのは当然、摂食障害のわたしが過食嘔吐をするのも当然の反応との事で、わたしの行為を否定されなかった事だけは安心しています。
ただ現状、ショックが大きくモチベーションが低下、病気を治療する事に失念しています。
会社や仕事関係の事なので、先生もわたしにどう対応するべきか悩んでいる様に感じました。
ここまで順調に治療を進めてきたが、非常に不安定な状態に今は施す術が無い、立て直すには時間を要する、としか言われませんでした。
無駄な散財や心身の疲労、自分を抑制出来ない恐怖から本当に抜け出したい、なんとか頭を切り替えて前向きな生活にしなければと思っているのですが、復職への希望が見えない事に、体が良くなった所で何の意味があるのか、と考えてしまいます。
もちろん仕事が全てではないと思いますが、わたしにとっては重要な起動力でした。
目標を失い、病気が治った先が見えず、考えれば考えるほど分からなくなり、また現実逃避に同じ事を繰り返しています。
まだ、立て直すには時間がかかりそうです。
今週はとにかく、アイさんの話を聞き、一連の感情の変化をうかがいました。
とにかく自分のショックだった出来事を話すことが、一番の心の癒しになります。
そして、今のアイさんには、過食嘔吐をやめるために色々と努力するのではなく、心の回復をしてもらうことが最優先だと考え、この一週間は自分が心地いいと思うこと、好きだと思えること、(絵を描くなど、能動的なものではなく、受動的なこと)をして過ごすように伝えました。