vol.18:相手を許せなくても、自分を否定しない

カウンセリングを受けている一人、アイさんのケースを今まで17回に渡って内容を公開してきましたが、少しずつ前進されている様子が伺えます。(アイさんには了承を得ています)

今回はアイさんの18回目の面談。現在、低体重でドクターストップにより休職中。拒食、過食嘔吐を乗り越え、体重増加を少しずつ許しながら、なんと自力では生理が来ました。

現在、復職を早めたい自分と、認めない主治医の間で、悶々とする日々を送っていらっしゃいます

今までの歩み

今週のアイさんの様子

・現在の体重 31.1kg

⇒体重が増えないことに安心感を感じてしまっている。増えることに対して抵抗感がある。

私から

「怖い、怖くない」の葛藤を繰り返しながら徐々に体重増加を許していけるものではあるが、職場復帰を望むのであればもう少し積極的に食べていこうという話をしました。

・食事量は安定している

⇒食事については安定した量を食べる事が出来ているが、季節的にあまり濃い物や温かい物は食べたいと思わず、食事内容は殆ど固定されている。

キムチ、納豆は必ず食べ、副菜は豆腐かもずく酢、メインに魚の刺身。

デザートにアイス(最近はわらび餅を食べる日もある)、もしくは果物(主にりんごかスイカ)、みたらし団子を食べている。

私から

現在、この内容で体重が増えもせず、減りもせず、精神状態も安定しているので、一旦はこの内容でいきましょうと伝えました。ただ、35kgまで増やした上で復職するのであれば、もう少し食べたほうがいいね、とも伝えました。

・会社で受けた過去の傷に向き合う

⇨アイさんから

主治医に会社で辛かったことについて相談すると「誰にでも忘れられないつらい思い出はある、誰かのせいにしても良い、許さなくて良い、自分を責めてまで許す必要はない「相手に自分の痛みは理解されないと思う、他人を変える事は出来ない、自分が考え方を変える、自分が変わるしかない」と言われた。

先生の意見が間違っているとは思わなかったが「他人は変えられないとはいえ、変わらなければならないのは本当にわたしだけなのか」と疑問に感じている。

やはり他人には伝わらないと思うと自分を否定する事しか出来ず、「自分に問題があったから、自分の努力が足りなかったから」と、今も自分を責め続けている。

この相談に対し、私も過去のトラウマとの付き合い方についてお話し、今回のカウンセリング終了後、アイさんに気づいたことをまとめていただきました。

以下、いただいた文章。

わたしは自分のへの否定的な言葉に敏感になり、他人の言葉の一つ一つを真正面から捉え、否定的な部分の全てを吸い込み「わたしが悪いのだ、わたしが反省しなければ」と自分を過小評価し、責めたり悔やんだりしがちでした。
少しの否定を含んだ言葉も自分で膨らませて悪化させ、全面的にわたしへの否定と捉え、それを積み重ね自己否定していました。

主治医からの「他人は変えられない、自分が考え方を変える、自分が変わるしかない」という言葉にも、わたしへの否定の言葉として受け取り「相手が正しい、自分が間違っている、自分を正すべき」とわたしへの叱責の言葉の様に捉えてしまっていました。
その時の感情や思い悩んでいる事を文字に表し、改めて自分自身の気持ちを読み返すと、後ろ向きに捉えすぎている、自分で自分を劣化させていると感じました。

先生の仰った「自分の考え方を変える、自分が変わる」というのは決してわたしを否定したのではなく、そういった部分を指し「自分を責め続けるのはやめよう、自分を肯定して自分で評価しよう、もっと気楽に構えよう」と、否定の意味ではなくわたしを前向きな方向へ持っていく意味を含んだ言葉だったのかもしれない、と気付きました。

人の表現、その受け取り方や捉え方は多種多様で、その時その場では受け取り方や感情は無意識に働き、上手く処理する事は出来ません。
しかしそれを一度持ち帰り、その時とは違う捉え方で考えたり、良い方向で処理する事は出来るのだと気付きました。
相手の表現を真正面から浴びてその時だけの感情に溺れるのではなく、所々で受け流したり、捉え方を変えて自分にとってプラスに変換したり、自分が息苦しくないように躱していけば良いのだ、と思いました。

不器用なわたしなので、この先も葛藤を繰り返し悩み事に悶々とする日々が続いていくのだと思います。
ですが、そんな時があっても良い、それの一部でも自分を変えるエネルギーにしよう、「生きやすい生活」にしていこう、と思っています。

⇨摂食障害の方は繊細。たった一つの単語だけでも、心に引っかかって覚えていたりするもの。それが、自分にとってマイナスだと思われるものほど。

自己肯定感が低かったり、他人から過剰によく思われようとしていると、その傾向が強いように思います。

今回、私との対話を通して、上記のような気づきが得られたことは、今後会社復帰した際にも大いに役立つ考え方だと思います。

私のカウンセリングは、症状の対処法を考えるよりかは、患者さんの根っこにある感情を引き出し、ご本人に気づいてもらうことが一番の目的。そこの気づきから、日々の思考や考え方が変わり、症状も穏やかになっていくのだと思います。

だから、今回のカウンセリングで彼女を変えたのは私ではなく、彼女自身なのです。自分自身で、自分を成長させることができたという自信は、大きな支えになると思います。

 

最近は海外の方の相談に乗ることも増えて来ました。

オンラインだからこそどんな場所でも、時間でもできるメリットがあります。

随時うけたまわっていますので詳細は下記リンクからご覧ください。

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