今回の相談者 アイさん(30歳)
わたしの痩せ願望、肥満恐怖についてですが、入社したばかりで右も左も分からなかった頃に、ある年配の女性の方をリーダーとするパート、アルバイトの女性集団の方々から陰口を言われ始めた事に拒食症が進行していきました。
入ったばかりで急に仕事をこなすなど難しいはずでしょうが「仕事もろくに出来ないくせに社員というだけで自分達より給料をもらっている」「仕事はしないのに休憩だけはちゃっかりとっている」など、最終的には「死ねばいいのに」と言われるようになり、わたしの中で仕事ができない人は休憩をとってはいけないのだ、休憩よりも仕事を進めなくてはと、食事や休憩は悪い事だと思えてきて、それが刷り込まれていきました。
上司はそういった女性集団の揉め事には関わりたくない、自分の仕事を進める事が最優先と、部下のわたしに関しては無関心でした。
そうした日々を過ごすうち、痩せていけば少しは仕事を頑張っているように見えるだろうかと、妙な痩せ願望が肥大していき、食事や休憩はとらず一日通しで仕事に専念し、それが当たり前になり休日でも一日一食が習慣づいてしまいました。
痩せていきながらでも仕事に打ち込む事で、自分は仕事を頑張っていると思い込み、周りにもそれを示したかったのだと思います。
本当に歪んだ痩せ願望ですよね。
数年前にひとつ上に昇格させてもらった事に、わたしは更に上を目指したいと仕事に没頭するようになりました。
仕事が終わって帰宅しても休日でも、業務内容のメールや電話がかかってくる事はよくあったので、わたしは四六時中仕事の事しか頭に有りませんでした。
繁忙期、酷い時には3~4時間睡眠の為だけに帰宅してまともに食べる事もなくまた出勤という日が3日ほど続き、その間だけで2kg近く痩せた時でさえも自分はよく働いている、ちゃんと仕事をしている、もっと頑張らなければと思いました。
とにかく仕事への向上心と会社への貢献心だけで、仕事に始まり仕事に終わる日々を過ごしてきました。
主治医から、もう身体も心も限界だからとにかく一旦仕事から離れた方がいい、休んだ方がいいと言われて療養する事になりましたが、休んで体重が増える=怠けている、働いていないのに食べてはいけないという拘り、肥満恐怖や痩せ願望が消えず、体重増加を受け入れられません。
未だに睡眠時に職場の方々や仕事の事が夢に出てきたり、寝起きは真っ先に「今日の業務スケジュールは」と考え「ああ今わたしは療養休暇中だった」と気付く事がしょっちゅうあります。
自宅療養といっても自分が借りているアパートで一人暮らしのまま、母親からは生活資金援助は一切受けず、国からの傷病手当と自分の貯金を崩しながら生活しています。
療養し始めた頃には、10年間一生懸命働いて貯めた貯金が崩れるのは虚しい、早く復帰できるように頑張ろうと療養に前向きだったのが、症状が悪化していく事に絶望し、生きているのがつらいと思うようになりました。
死にたいと思ってしまっている今は病気を治す事が考えられず、ただ病気の症状に怯えながら絶望的に毎日を過ごしています。
ですが、わたしを心配してくれる母親や友人が居てくれている事を忘れてはいけない、と気付きました。
ヨメジョさまのご意見通り、まずは症状悪化について母親に相談してみようと思います。
オンラインカウンセリングというのも、受けてみようかと考えている所です。
わたしの歪んだ痩せ願望、肥満恐怖についてヨメジョさまのご意見があれば、またご返答の程を宜しくお願い致します。
(1)状況整理
・仕事
事務員(週5日)だが、昨年の8月末から休職している
・摂食障害の経歴
もともと高校時代に体型コンプレックスはあったが、食べられなくなったのは入社後。そこから10年ほど拒食。
・身長149cm、28kg(max42kg)
アイさんはもともと摂食障害になる前も痩せ型で、客観的にみて痩せる必要はなかった。しかし、そこで痩せから逃れられなくなったのは、職場での人間関係の悪化や、仕事をしていな=怠けている、というふうに思い込み、ハードワークに自分を追い込んでいった。
・通院の有無
通院はしているが、先生との距離が近いかといえば、まだ壁があると感じている。
(2)問題整理
今一番悩んでいることは拒食。
体重が増えることに対する抵抗感。
毎日10回ほど体重計に乗ってしまい、0.1kgに一喜一憂している。
体重増えないことには仕事復帰できないことはわかっているのに増やすことが怖い。
1日1食、夕飯だけ。食べたいと思ったものを食べるようにしている。
好きなものはキムチと納豆、お酒、つまみ。ケーキ2~3個食べることもある。
(3)解決の道
アイさんは責任感が強く、仕事に対して真面目。自分に厳しい。だからこそ、厳しい食事制限にも耐えてきてしまったように感じます。
本人も感じているように、体重を増やさなければ職場復帰は難しい。しかし、どうしても太ることが怖い。職場で太った姿でいると怠けていると思われてしまう、という恐怖から抜け出せられない。
そこで、まずは今は職場のことはわざわざ思い出さなようにしよう。とにかく自分の体を休めて、食べることを許してあげよう、という話をしました。休むことが今のあなたの仕事だと。
仕事の人間関係は、職場復帰してから考えればいいこと。先取り不安して、目の前の健康になるという課題に向き合おう、という話をしました。
(4)意思決定
ここではアイさんと一緒に生活目標を考えました。まずは体重計に乗るのを1日1回に減らすことを決めました。
また、30kgになるまでは体重増加を許してみようと決めました。食事を頑張ってみよう、好きなものを選んで食べたみよう、という前向きな声が聞けました。
カウンセリングはだいたいこんな感じで終わりました。アイさんはご両親や友達には病気のことを打ち明けられずにいたので、やっと第三者に包み隠さず自分の気持ちを打ち明けられたことで、安心しているご様子でした。
そして、来週から定期的に週に1度、オンライン面談をすることになりました。
おまけ:人に話す効能
- 1、自分の置かれている状況を客観的に理解してもらえる
- 2、自分自身の感情に気づく
- 3、自分自身を俯瞰して見ることで問題解決ができる