過食のおかげで、日々の緊張感から解放される

先日、過食嘔吐克服中の30代女性のクライアントさんとのカウンセリング中で、

「こんなにも治したいのに、それでも過食が手放せないのはなんでだろう?」

「過食で得られるものってなんだろう?」

という話になりました。

 

その時に、彼女から出た第一声が

「過食すると、緊張感からやっと解放される感覚がある」

という言葉でした。

 

あ〜真理だなと思いました。

 

今日は、過食症の人は

なぜ日常的に緊張感を持って生活しているのか

その背景にある要因と解決方法について考えてみたいと思います。

 

 

緊張と過食の関係

ではまず初めに、緊張感を持つと、なぜ過食につながるのかについてお話します。

 

いつもお話ししますが、過食の原因はストレスです。

緊張状態が続くと、心身に大きな負担をかけ、慢性的なストレスへとつながります。

 

 

では、みなさんはどういうことに緊張しているかというと、

・過食しないように気を張っていたり…

・過食症だとバレないように気を張っていたり…

・仕事でミスしないように気を張っていたり…

・太らないような生活に気を張っていたり…

・家族や友人に嫌われないように気を張っていたり…

・暇な時間をいかに作らないか予定を詰め込もうと気を張っていたり….

 

ずっと安心できない感覚、

ずっと落ち着かない感覚ですよね。

 

これは、

学校に行っていなくても、
仕事をしていなくても、
家で引きこもっていても、

変わりません。

 

過食が緊張感からの解放手段として選ばれるのは、食べることが一時的に不安やストレスから気を紛らわせ、快感をもたらすからなんですよね。

 

過食は「脳を麻痺させる効果」があります。

だから、過食症の人は「脳を麻痺させたい・休ませたい」と感じる時に、その手段として過食を選んでしまうんですよね。

 

つまり、日々、物凄く緊張感を持って生活していて、慢性的なストレスを抱えている。
その状態から解放されるために爆発的な息抜きを求めている。

その手段として、過食を利用するんだよね。

しかし、これは一時的な解決策であり、根本的な解決にはつながりません。むしろ、過食は健康問題や心理的な問題を引き起こす可能性があり、長期的に見ると悪循環を生み出すことがあります。

 

緊張感を持ちやすい原因

では、なぜ過食症の人は緊張しながら生活するようになってしまったのでしょうか。

その理由は、3つ考えられます。

1:アダルトチルドレン

アダルトチルドレン(AC)とは、子ども時代に機能不全な家庭環境で育ったために、大人になっても心の傷を抱え、生きづらさを感じている人のことを指します。

アダルトチルドレンになる原因は、子供自身にあるのではなく、家庭環境にあるんですよね。

例えば、

  • 虐待
  • 育児放棄
  • アルコール依存症の親を持つ
  • 精神疾患を持つ親を持つ
  • 家庭内暴力
  • 両親の離婚
  • 過度の期待や否定

アダルトチルドレンの特徴 としては、

  • 自己肯定感が低く、自分を責めやすい
  • 完璧主義
  • 感情のコントロールが難しい
  • 人間関係がうまくいかない
  • 過去にとらわれやすい
  • 暇が苦手

 

特に暇が苦手、という特徴が過食に大きな影響を与えていると思われます。

なぜ暇が苦手かというと、幼少期の家庭環境が安心できるものじゃなかったため、落ち着かなかったんですよね。

その結果、常に危険が迫っているような感覚、つまり常にに警戒状態にあり、リラックスすることが難しいのです。

また、アダルトチルドレンは、自分の感情をコントロールするのが苦手な場合が多く、ちょっとしたことで感情が不安定になり、緊張状態に陥りやすくなります。

その結果、緊張という苦しい状態から、

①感情を麻痺させるために

②空虚感を満たすために、

③ストレス解消をするために、

依存症になりやすいです。

摂食障害に限らず、依存症の人は、アダルトチルドレンであることが多いです。

さて、根本的にはアダルトチルドレンがあるために過食が必要になるとは思いますが、

それ以外にも緊張感を持つ原因として二つのことが挙げられます。それが「太りたくない」「過食したくない」という、摂食障害特有の気持ちです。

2:太りたくない

摂食障害の人は、太りたくない気持ちが強いです、。

それによって、いつも体型を気にしたり、体重を測ったり、鏡でチェックしたり、太らないために運動したりして、いつも気を張っているんですよね。

3:過食したくない

また、過食を治したい過食症の人にとって、過食は「できればやりたくないこと」です。

そのため、過食スイッチが入らないように、気を張って生活をしています。

 

 

目標は、リラックスして過ごせるようになること

「開放感を得るために過食している」という過食症の人が、過食を治すために必要なことは「リラックスして過ごせるようになること」です。

 

ただ、みなさんこのリラックスが大の苦手ですよね。

では、なぜリラックスすることが苦手なのでしょうか。

リラックスを妨げる要因

  • 完璧主義: 何事にも完璧を求めすぎてしまうと、常に緊張状態になってしまいます。
  • 将来への不安: 未来のことを考えすぎてしまい、現在を楽しめないことがあります。
  • 過去への後悔: 過去の失敗を引きずり、前に進めないことがあります
  • 人間関係:まわりの人の機嫌を伺ったり、嫌われないように振る舞ってしまう
  • 休むこと=ダメなことだと思っている

これらの要因を改善するために、カウンセリングを受けることも一つの選択肢です。

緊張感からの過食を解決する方法

1幼少期のトラウマのケア

アダルトチルドレンの方は、回復するためには幼少期のトラウマや、その影響による自己否定的な考え方などをケアする必要があります。

2太りたくない気持ちのケア

太りたくない気持ちが強くなるほど、食事がうまく食べられない、生活がマイルールで縛られる傾向があります。そのため、太りたくない気持ちを少しでも小さくする心のケアが必要です。

過食欲求がわかないため食事量の摂取

頭の中が弾がいっぱいになるのは、単に暇が苦手だったり、現実逃避したいわけではなくて、一番の原因は飢餓状態だからです。

きっとみなさん、過食以外はめっちゃ食事制限していませんか?

過食を治すためには、まずは本能的な食欲を満たしてあげることが必須です。

 

許せるメニューでいいので、1600〜2000くらいはせめてコンスタントに食べられるようになるといいですね。

 

4リラックスでき、安心できる環境をつくる

特に、家の中でリラックスして過ごせるように、住環境を見直しましょう。

  • 静かな場所: 静かで落ち着いた場所がありますか?他の家族がいる場合は、自分だけの空間を作りたいところですよね…
  • 心地よい照明: 明るすぎない、落ち着いた照明を選びましょう。
  • アロマの香り: リラックス効果のあるアロマを焚いてみましょう。
  • 快適な服装: ゆったりとした服装でリラックスしましょう。

 

※リラックスのコツ

無理にリラックスしようとしない: リラックスしようと意識しすぎると、かえって緊張してしまうことがあります。

毎日少しずつ続ける: 毎日少しずつでも良いので、リラックスの習慣を続けましょう。

自分に合った方法を見つける: 様々な方法を試して、自分に合った方法を見つけることが大切です。

 

特に、何かを達成する満足感ではなく、五感を使って満たされる過ごし方を見つけることが大切です。

例えば、観葉植物を育てる、手芸をしてみるとかでもいいですよね。

 

リラックス方法はすぐに見つからないと思うし、それを習慣化するまではストレスに感じることもあると思います。

それでも、様々な方法を網羅的に試しながら、ご自分に合ったリラックス方法を見つけて、継続していけるといいですね。

 

5過食以外のストレス対処法を見つける

ストレスに対処するための健全な方法を知らない、または実践できていないために、過食に頼ってしまうことがあります。

世の中にストレス対処法の情報はさまざまなものが紹介されているので、自分に合うものを一度探してみることをお勧めします。

 

みなさんいつも、気を張って疲れていると思います。だからこそ、人並み以上に自分のことを労って、リラックスしていいんですからね。そうしないと、過食は治りませんからね!

治療のために「自分を休ませてあげる」と思えるといいな。

 

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