カウンセリングを受けている一人、アイさんのケースを今まで15回に渡って内容を公開してきましたが、少しずつ前進されている様子が伺えます。(アイさんには了承を得ています)
今回はアイさんの16回目の面談。現在、低体重でドクターストップにより休職中。拒食、過食嘔吐を乗り越え、体重増加を少しずつ許しながら、なんと自力では生理が来ました。
現在、復職を早めたい自分と、認めない主治医の間で、悶々とする日々を送っていらっしゃいます
今までの歩み
今週のアイさんの様子と私のコメント
・主治医に食事記録をつけるように言われた件については「診察で話すだけじゃ分からない部分もあるから、食生活や内容をもう少し細かく知る為」との事で、特に監視や矯正が目的ではなく「~を制限する、~を必ず食べる」といった事は言われなかった。
「炭水化物や肉類が少ないね」と指摘はされたが、「好きな物が進んで食べられるならそれで良い、食事記録も苦に感じるならやめてもいい」と言って下さった。
但し「魚が好きで毎日食べるのは良い事だし、食べ物の好みもあるから無理にとは言わないけど、肉を食べる頻度を少し増やせないかな、たまにで良いからご飯や麺類等も食べられるなら食べてほしい」と多少指摘はされ自分でも偏食だとは自覚していて、肉類やご飯等も心底嫌いで食べられない事はないので、たまには意識してそういった物を食べる努力をしようと思っている。
⇨無意識に「太るもの」「太らないもの」と自分で決めているのであれば直す必要があるが、小さい頃から嫌いなのであれば、好みということでそこまで意識しなくてもいいと伝えました
・復職については「今の体重でもわたしは働いていたから自分はもう健康だと思う、本当にこれ以上体重を増やす必要があるのか」「わたしがどのくらいの体重で、どういった状態になれば就業可能と診断されますか」と聞いた所、先生からは「体重だけでいうと、あなたは確かに今の体重で働いていたし、自分が働けると思えば働くのだろうから今すぐの復職が不可能な事は無いが、その体重はギリギリのラインで健康とは言えない」「何より心が安定していない、肥満恐怖を自覚してるなら分かると思うけど、働けば体重は必ず減る、また同じ事になるのは目に見えている」と言われた。
「何kgになったらとか何月頃ならと言える事ではない、体重は理想を言うと34~5kgは欲しい所だけど体重の問題ではなく、以前の様に体より仕事を優先して無茶働きをしないかという所、不規則な出勤時間や忙しい中でも食事はきちんと摂って体重を維持する事、痩せる事を仕事への努力と考えず、食事は摂って当たり前の事と考えられる様になれば復職しても良いと考えている」との事だった。
「食事というのは会社員でも専業主婦でも、とにかく何かしら貢献している人の権利、休職していて毎日安穏と過ごし何も成していない自分には無い権利だと思って、わたしは自分が食べてはいけない人だと思ってしまう時がある」「活動量と食事量を結び付けてしまう、『活動していないのに食べても良いのか』と躊躇したり、体重が増える事に『怠けて過ごした、食べ過ぎた』と毎日自己嫌悪する」「痩せたいとは思ってない、体を回復させる為に休んでいるのだから体重が減ればもちろん焦る、でも増えれば自分を責めてしまう、体重が減るのも増えるのも恐れている」と相談し、先生からは「一時は痩せ願望も肥満恐怖も無くなったと思っただろうけど、やっぱりそうではなかったでしょう、その葛藤の繰り返しなんだよ、根底にある病気の心は良くはなるけどきっと無くならない、無くなって克服できる人も居るけどそれは本当に難しくて、この先もその葛藤は続いていく」
「たとえ今が働ける体だとしても『太る=怠けている、痩せる=仕事を頑張っている』という考えがある以上、必ずまた痩せていくだろうから、葛藤し続けながらでも痩せない様に食事を摂ると絶対に言える、約束できる様になれば復職できる状態になったという事で、今の状態ではそれができるとは思えないから就業可能とは診断できないし、体重よりも心の問題だから目標とする復職時期も僕からは言えない」と言われ、復職の目標時期は決められなかった。
・心の状態を整え復職する時期を決めるのは自分自身だと理解しているが、いつ絶対にそうなるという確信が持てず、また先の見えない不安を感じている。
「葛藤は無くならない、ずっと続く」という言葉が頭から離れず、克服が遠のいた様に感じ、気落ちした。
・少し気落ちしてはいるが「葛藤を無くせなくても自分次第で良くはなる、克服は出来なくても復職は出来る、将来の『なりたい自分』を否定されたわけではない」と考え、「何にしろ体だけでも先生が良しとする所まで健康にしよう、葛藤の心が出てきた今が頑張り所」と前向きではある。
まずは体を健康に近付ける事に努めようと思っている。
そうですね。確かに完治は長い道のりかもしれない。しかし、病気を抱えながらでも、人生を楽しむことはできるし、体重が回復し、心の状態も安定すれば復職も可能。
私も10年間、摂食障害でしたが、初めの3年間は家から出られない日々でしたが、その後は過食嘔吐を抱えながら、7年間はそれなりの、周りと同じような生活を送ってきました。(大学を卒業し、会社員も2年間した)
まずは体を回復させることが、心の健康につながり、完治に近づく。
ですので、まずは体重を低体重から脱し、社会復帰をし、心の問題に向き合いながら、人生の楽しみを増やしていくことが大切だと思います。
最近では、完治ではなく「寛解=全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること。」と表現される方もいらっしゃいます。まずはそこを目指すのもいいと思いますし、しかし私は完治はできると信じているので(私自身、完治しています)、完治に向かって取り組んで欲しいと思っています。
・まだ足が痛むので歩行運動はしていないが、活動量と食事量を結び付けず自然な食事を摂る様に心掛けている。
「活動量は関係ない、食べたい物を食べれば良い」と意識して、夕飯に一つ副菜を増やしたり、久々にケーキを食べたり連日31アイスを買ったりと、食事に積極的になっている様に感じる。
・体重増加は嫌々ながらでも「元気に働き続ける為には健康な体が必要、わたしはまだ不健康体、体重が増えるのは良い事」と言い聞かせ、受け入れる事が出来ている。
葛藤がありながらも、病気の声に負けず、回復のために取り組めていることは、とってもすごいと思います。
治るまでには、常に葛藤の連続です。本当に、なんでこんなことに悩まなくてはいけないの?と私もなんども自分を責めましたが、自分の元気になりたい声を優先し続けることで、必ず葛藤が減っていき、完治に近づけるはずです。応援してます。