カウンセリングを受けている一人、アイさんのケースを今まで13回に渡って内容を公開してきましたが、少しずつ前進されている様子が伺えます。(アイさんには了承を得ています)
今回はアイさんの14回目の面談。現在、低体重でドクターストップにより休職中。拒食、過食嘔吐を乗り越え、体重増加を少しずつ許しながら、なんと自力では生理が来ました。
現在、復職を早めたい自分と、認めない主治医の間で、悶々とする日々を送っていらっしゃいます
今までの歩み
今週のアイさんの様子
▼食事について
何を見ても「食べたい」という気持ちが湧かない。
医師への報告や栄養素への意識は薄くなったが、何が食べたいか考えても「これが食べたい、食べよう」と思わない。
・以前は特に目当てが無くても買い物へ行き「今晩は何を食べようかな、おいしそうな物はあるかな」と店内を一通り見て回ったりしていたが、今は買い物に行くのが億劫に感じる。
・食事は淡泊だが、毎日スイーツを食べていて体重も減っていないので、必要なカロリーは摂れている。
「体重も減っていないし今の食事で充分なのかな」とあまり気にせず、運動も毎日続けている。
・最近耳鳴りが酷いので少し体調不良なのか、気温の上昇により食欲が低下しているだけかもしれない。
・空腹にはなるが、何を食べようか考えても食べたい物が分からず、好きなはずの魚等も食べようと思えない。
・考えるのも面倒になり毎日食べる習慣の物、安価で手軽に食べられる物を買い置き、それで適当に済ませれば良いと思い「キムチ、納豆、豆腐、もずく酢」を食事として、デザートにりんごや買い置いていたスイーツを1~2個食べる日が続いている。
▼生活について
・趣味の時間も楽しめている
・体調が悪く感じ、昼寝をしたり、2時間くらい無気力でぼーっと過ごすことがある
私からのアドバイス
「食事に無関心」になったり、体調不良を感じられるようになって昼寝をしたり。それはある意味、普通の人の感覚に近づけた証拠。
普通の人でも、お腹が空いたから、とりあえず手軽に食べられるものを食べている。
しかし、あいさんの場合は、手軽に食べるものがかなりヘルシーで、総カロリーが足りていない。
また、アイさんは体重維持が目標ではなく、体重を増やすことが治療の一環。
そのため、体重維持の食事内容ではなく、総カロリーを増やす努力をすることも、患者の義務。
白いご飯などは好みで食べる気が起きないとのことだったので、それに変わるものでカロリーが取れるようにアドバイスをしました。
「食べたい気持ちは自然に思い出せるのか、思い出す努力をした方が良いのか。」との質問には、食べることを無理やり思い出すのは違うとは思うけれど、「食べれるようになりたい」という、全体的な意識がないと、拒食心に引っ張られてしまうので、できるのであれば、意識してほしいと伝えました。
「暑くて食欲が湧かないだけ」「今日はたまたま食べたい物が無かっただけ」と、現在食欲がわかない理由を話されていましたが、それが無意識のものなのか、本当に体調が悪いのかが判断できなかったので、今週は「体調不良でないのであれば、なぜ食欲がわかないか」を考えてきてもらうようにしました。
摂食障害は凸凹を繰り返して治るもの。ですので、少しくらい食べられない日が続いても、元に戻ったのではなく、進むために必要な停滞であると考えてほしいです。