vol.6:自分のことを大切に思わない人とは会わない

カウンセリングを受けている一人、アイさんのケースを今まで5回に渡って内容を公開してきましたが、少しずつ前進されている様子が伺えます。(アイさんには了承を得ています)

今回はアイさんの6回目の面談。現在、低体重でドクターストップにより休職中。拒食、過食嘔吐を乗り越え、体重増加を少しずつ許せてきている最中。

現在、復職を早めたい自分と、認めない主治医の間で、悶々とする日々を送っていらっしゃいます

今までの歩み

先週約束した経過報告

約束1「ひとり飲みをしない」

前回のカウンセリング以降、一度もひとり飲みはしておらず、過食嘔吐もしていないそう!すごい!

約束2「間食はしても良い」

今まで通りコーヒー、飴やチョコ等の間食の習慣は変えず、欲しいと思えば気にせずつまんでいるようで、それが過食欲求の引き金にも繋がっていない。

約束3:「過多な運動はしない」

これも今まで通りの生活から変わっていない。順調に体重も増えてきている事から、主治医にも復職に向け体力作りの為に多少の運動をしていきたいと相談したところ「せっかく増やせた体重が減ってしまっては良くない、今の体重ではまだその必要はない」との事でしたのでそれに従っているそうです。

約束4「イラストを描く」

気が向いた時にスケッチブックに3分間ほど落書きをする程度で前ほどに取り組めてはいないが、まずは過去のイラストの復元作業に努めた。描いていた頃のようにやろうと思えば揃えるべき製品はどれくらいか見てみたが、欲しいと思った機材が安易に手が出せる価格ではなく「やっぱり仕事していないのにこんな高額な買い物をしてはいけない」と、逆に気落ちしてしまった。→今回の約束で私のアドバイスを書きます

現状経過と次回までの約束

約束1:自分のことを大切しない人とわざわざ会わない

前回のカウンセリングから過食嘔吐は一度もしていないが、あることが引き金となり過食嘔吐をしようとはしてしまった。

あること:生命保険会社に転勤した友人から話を聞くだけでもと頼まれて、自分が今死んだら遺族にどれほどお金を遺したいか、自分の葬儀費用、事故や病気で一生働けない身になって家族に面倒を見てもらうとしたら、定年後の理想の生活資金等色々と聞かれて、そのプランから必要な蓄えなど現実的な金額を突き付けられた事から、休職していて収入も無く貯金を崩して生活している現状に強い不安、焦りを感じ「食べたい」ではなく「早く復職して収入を得なければ」という強迫観念が湧いた。

また、上記の友人とは喫茶店で会い先に友人が居て、わたしの病気の事を知っているにも関わらず、頼んでもいないのに「もう注文しといたから」とサンドイッチが運ばれてきた時には「食べたいとも思ってない物を」と嫌な気分になったが、(わたしの体調の為に良かれと思って行った事だとは思いたいですが)「要らないと言うのも失礼になる、これも治療の一環だと思い」半ば無理やり食べた。

その時は「食べさせられた」という思いが強く「食事は楽しい」とも「おいしい」とも思えず、普段食べる物でもなかった為、少し気分が悪くなったが食べる事は出来た。

しかし、帰り道に過食衝動に駆られ、スーパーへ買い出しに行き「とにかく何でも自分が好きで食べれる物なら」と袋チョコやアイスを沢山買ってしまった。しかし、帰宅して「過食すればきっとまた限度を越えて嘔吐する、せっかく良い方向に向かっているのにまた振り出しに戻る」と冷静に返り、過食はしていない。

あいさんはこの一件があって、話し声からかなり落ち込んでいるように感じましたが、この一連のあることの中には、あいさんの成長が見て取れることを伝えました。

成長1:予想外のサンドイッチを治療の一環だと思って、その場でパニックになることなく食べることができた

以前、拒食がひどかった時やまだ克服したいと強く思えなかった時には「冷静に食べる」ことはできなかったはず。しかし、今回はいろんな葛藤を抱えながらも食べることができた。その事実だけでも褒められることだし、成長の証だと思います。(昔の私に置き換えて考えてみたら、絶対にその場で泣き出して食べられなかったと思う・・・)

成長2:過食衝動から一度は買い物をしてしまったが、帰ってきて冷静になって過食嘔吐をしなかった

これも、投げやりになっていなくていいですね。摂食障害って白黒思考が強くて、一度崩れてしまうと投げやりになって、冷静さを失って、過食嘔吐に走ってしまうことが多いのに、「治りたい」という気持ちが勝ったことが大きな成長だと思います。

このように、アイさんにとって嫌な経験だと思っていたことでも、その中で自分がした対応の中にいいところを見つけようとすれば、自分の成長を見つけることができます。

この経験がなければ自分の「治したい」という心の本当の声に気づかなかったかもしれません。

また、この経験から「自分のことを大切しない人とわざわざ会わない」という約束をしました。確かに、外に出て、誰かと外食するのは克服する上で大切なことになると思いますが、自分のことを大切に思わない人とあったところで傷つくだけです。人生は仲のいい人と付き合うほど長くはありません。自分が「この人といて心地いいな」と思える人とあったほうがいいと私は思います。

約束2:昼食をたす

昼食はワンパターンではあるが継続して摂っており、夕食は以前に比べ幅も増えたようで、夕飯の買い物も、以前に増して食べたい気持ちを優先して買うようになり(カロリーや栄養成分はまだ見てしまいがち)体重も増えてきている。(カウンセリング開始の頃プラス約2kg)

病院の診察の際には体重を量る為、以前は肥満恐怖から前日の夕飯は少なめ、当日は日中の間食も控えていたが、今回の診察(3/8)の前日はその事は気にせず夕飯は普段通りの量を食べ、当日も昼食や間食を抜く事はしなかった。

しかし、夏前までに復職を目指すなら、あと5kgは体重を増やさなければ医師からのOKが出ない。そこで、昼食を今までよりも多く食べるように約束しました。

約束3:自己投資のためにPCを買う

以前に「趣味の為の自己投資は良い事」と私が伝えたところ、アイさんは欲しいと思っている機材の購入を考えたが、やはり高額で安易に手が出せず趣味を楽しもうと思いつつ「あれが欲しい、買えればな」と考える方に落ち込んだそうです。

しかし、私は自分の好きなところを伸ばすための投資であれば、投資したお金以上の価値があると思っています。せっかく貯金していても、それが安心感のためだけの貯金であれば、一体そのお金はいつ使うのでしょうか?復職すれば、またお金を貯めることならできる。

しかし、今は家で自宅療養中で、その中で自分の心の支えとなるものを増やしていくことは治療の一環だと思って投資してもいいと思っています。むしろ私とカウンセリングするお金は趣味に投資したほうがいいと思うくらい。

来週までに買えてるかな?自分の生活の中の楽しみを増やせるといいな〜。

長くなってしまいましたが、カウンセリングを始める1ヶ月半前よりも、「治して復職したい」という心が育ってきて、それに伴い食欲もわき、体重増加も受け入れられるようになってきたアイさん。

本当に私も嬉しいし、治った先を一緒に笑って話せるくらいまで克服されてきています。夏前の復職目指してまた一歩ずつ進んで行けるといいですね。怖いこともあると思いますが、今までの自分の頑張りを思い出してぜひこの1週間も乗り切って欲しいです。

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