という質問をよくいただきます。
今回は、過食・過食嘔吐後の過ごし方についてお話ししたいと思います。
過食の定義
そもそも、過食の定義は人それぞれだと思います。
人によっては、1000kcalに満たない食事を過食と思う人もいれば、3000kcalをこして過食と思う人もいます。
客観的に見れば1日の量が3000kcal以内であれば過食とは呼ばなくて良いと思いますが、ここでは「自分の許せない量を食べて、食後に罪悪感でいっぱいになった食事」と定義しましょう。
過食後の過ごし方
メンタル面・食事面・運動面についてお話ししますね。
皆さんにも聞いてみると、いろんな工夫が書かれていました。
しかし、この中でふたたび「過食を招いてしまう行動」があります。
それは右側のこちら。
過食した後に「それを帳消しにしようとする行動=代償行為」を頑張れば頑張るほど、じつはまた過食を招いてしまいます。
逆に寝たり、リラックスするように努める方が、再び過食をすることを防げたりします。
無理すればするほど過食を招くなんて皮肉な話ですよね。
では、どうやったら回復に繋げられるのか。
その話をしていきたいと思います。
メンタル面
正直、みなさんが知りたいのは食事と運動面だと思います。
しかし、私はメンタル面こそ大切だと思います。
大切なポイント5つお伝えします
【1】自分の気持ちを受け止める
まずは、過食してしまった自分は、今はにを感じているかを書き出してみましょう。
もう、なんでも良いです。
「いやだな」「馬鹿だな」「あのケーキは美味しかったな」など。
上に書いてある「死にたくなる」「後悔」っていうのも素直な気持ちでいいですね。
ポイントは書き出すことです。
可視化したり、言語化することで、自分が何を感じているのかを整理しやすいです。
もし、話し相手がいる人は、お母さんに話してみたり、カウンセリングを受けている方はカウンセラーさんに伝えてみましょう。
第三者に伝えることで、抱えきれない気持ちの爆発から身を守ることができます。
【2】過食した自分を評価しない
つまり、自己受容するということです。過食してもしなくても、自分の価値は変わらないし、そんな自分も今は仕方がないと思うことです。
例えば、
過食してしまって、嫌だと感じる。
でも、そんな自分もしかたないと許す。
ダメだと決めつけない。
という考え方が大切です。
いつもいうことですが、「感情と評価を分けて考える」ということです。
過食を嫌だという気持ちは認めつつも、評価をしない癖をつけていきましょう。
【3】過食した背景を探る
過食は「無理した反動」で起こることが多いです。
例えば
・休みなく働いた
・お腹が空いていたけど、我慢しすぎた
・嫌なことを嫌と言えなかった
など、何かしら我慢した背景が必ずあります。
ただ、非常に無意識なことが多いです。
だから、ちょっと自分で客観的に把握することは難しいこともあるかもしれません。
自分の行動を把握するために、ふだんから日記をつけておくと無理したポイントがわかったりもします。
【4】原因に対する対処法を考える
できるだけハードルの低い、簡単な対処法を考えてみましょう。
例えば、空腹を我慢しすぎた反動で過食したのであれば、小腹を満たすためにソイジョイをいつも常備しておいて、エネルギー切れになる前に一本たべよう。など。
できれば専門家と行うと、適切な対処法がズバッとわかったりします。なぜなら、自分で考えると「極端な理想をかかげやすい」からです。
例えば「いつも朝ごはんを抜いていたので、明日から朝ごはんを定食スタイルで食べよう」「嫌なことが言えないからストレスが溜まるなら、明日からは嫌なことは嫌と伝えてみよう」と決めても良いのですが、いきなりできる人ってなかなかいませんよね。
もちろん心がけることはいいことですが、目標はできるだけ「無理なく、実現可能な範囲で、具体的に設定すること」をお勧めします。
これらは客観的に自分を捉えることができるようなれば、一人でもできるようになりますので、ぜひ練習してみましょう。
【5】過食してもいつもどおりを心がける
摂食障害が治った状態とは、「食べすぎても、生活が振り回されなくなること」だと私は考えています。
例えば、「多少、食べすぎてもいつもどおり学校に行ける、罪悪感に苦しんで落ち込まない、吐かない」などです。
だから、回復の過程でもこの練習をしていきましょう。
つまり、過食しても「気持ちは全て出し切ったし、対処法もわかったから、いつも通りすごして大丈夫」と気持ちを切り替えていきましょう。
この気持ちの切り替えは、なかなかすぐにできませんが、気持ちの切り替えの練習をしていけばスッとうまくなっていきます。
切り替えのコツは3つあると思っています。
まず、一つは「普段から規則正しい生活を送ること」
普段から健康的なリズムが整っていれば、そこに自分を戻してあげるだけです。
宇多田ヒカルさんもインタビューで「不調の波に飲み込まれた時は、できるだけいつもの習慣を心がける」と話されていました。
普段から健康的なリズムを身につけておけば、不調になった時に救われることが多いと思います。
一番簡単なのは、朝9時くらいまでに起きて、夜は25時くらいまでに寝る。ということです。やっぱり夜型の生活は生理的にもメンタルに良くないですからね^^
二つ目は「過食以外で心満たされる方法をいくつも知っていること」です。
過食後ってどうしても落ち込みますよね。だから、自分がどんなことをすれば楽しいとか、穏やかになれるかを知っておくと、「とりあえずそれをやってみるか」という気持ちにもっていきやすくなります。
人は行動するうちに気持ちも変わりますから。とりあえず何か10分やってみれそうなことを普段から用意しておくことをおすすめします。
三つ目は「寝ること」です。
上にも上げてくれた人が多いけど、実はすっごくいい方法です。
過食は疲労が原因にあるというお話を以前しましたが、摂食障害の人の多くは疲れています。
だから、手っ取り早く寝てください!
食事面
では、過食の後の食事についてです。
きっと多くの方が「過食⇨セーブする⇨爆発して過食」を繰り返しています。
つまり、「調整するから、また過食欲求が湧く」のです。
だから、「過食しても、いつも通りの3色のリズムで食事をする」ことをこころがけてください。
もちろん胃がパンパンだったら一食くらい休んでも良いと思いますし、軽くしてもいいと思います。上に書いてある「洋食ではなく和食をメインにする」でもいいですよね。
ただ、基本は「いつも通りすごし、調整しない」です。
「それでも怖いんです、、」と思う方もいると思いますが、公の場では基本の答えは私はこう答えます。
ただ、実際カウンセリングをしていると、「いつも通り過ごしなさい」だけではもちろん終りません。
人それぞれ過食の背景や内容にもよると思うので、その場合はその人の生活スタイルに合った食事内容を提案するようにしています。
運動面
運動面も食事と同じです。
過食したからといって、またその分運動したら、また体はエネルギーを消費してしまい、また過食欲求が湧くループにハマります。
そもそも、食事と運動は分けて考えることが基本です。
だから、過食と運動も分けて考え、「調整せず、いつも通り過ごす」ということを心がけられたらと思います。
それでも運動したい、という方もいると思います。
でも、私のクライアントさんをみていても「食べすぎても、その分運動をしない」という心がけをしている方は、次第に過食も穏やかになっていきます。だってそうですよね、過活動が過食を生んでいるのですから。
だから、今は難しくても、できそうな時はぜひ心がけてみてください。
過食することは症状なので止められません。
だからこそ、過食してしまったら「その後どうしたらいいか」が大切です。
私の提案は一つのアイディアに過ぎないので(多くのクライアントさんをみてきたので、精度は高いと思いますが笑)、ここから自分なりのスタイルを見つけられたらいいですね。
少しでも参考になれば幸いです。