「親に甘えたくても甘えられない」
「友達に頼るのは申し訳ないと思ってしまう」
そんなふうに、「人に甘えたいのに、甘えられない」ことで苦しんでいる方は、摂食障害の方にも多いように感じます。
「人に甘えたい」と思っているのであれば、必ず甘えられるようになります。
克服するヒントは「意識と現実がどのように影響しあっているか」を理解することが、私は大切だと考えます。
人に甘えられない人の特徴
- 真面目で、責任感が強くて、自分の力でだけでなんとかしようとする
- 「相手に迷惑をかけたくない」と、相手に遠慮をしてしまう
- 自己肯定感が低い
- 自分よりも、誰かのために尽くしてしまう
- 「甘え=してはいけないこと」と、甘えを否定する
特に5つ目は、カウンセリングをしていても、「自分でも甘えだとわかっている…」「甘えてばっかりいる自分…」などといった、甘えを否定する言葉が口癖になっているクライアントさんが多いように感じます。
では、なぜ「甘え=いけないこと」という考え方になってしまうのでしょうか?
原因:幼少期の記憶が影響
「私とはこういう人」などの前提は、記憶によってつくられます。特に生後〜6歳ごろまでの記憶や、その記憶からつくられた前提が、人生全体にわたって影響します。つまり、幼少期の親子関係や家庭環境、周囲の大人から言われた言葉に影響を受けやすいのです。
人に甘えられない悩みを持つ方の場合、以下のような幼少期の記憶が見られることがあります。
- 長女として、しっかりするよう求められた
- 親が厳しく、頼ったり甘えたりすると感情的に叱られていた
- 「人に迷惑をかけていはいけない」と強く言われて育った
- 言わなくても「察してもらう」という経験が少ない
- 「〜してはいけません」など否定ばかりされ、ありのままを認めてもらえない
このような幼少期の記憶が潜在意識となり、今のあなたの甘えられない感情を生んでいます。
例えば、
- 「いい子」でないと、愛されない
- 自分が「できない子」と否定しがち
- 助けてくれる人はいないから、1人で頑張らなきゃ
- 人に期待するのはやめよう
- 仕事ができない私は、会社に必要とされてない
幼少期につくられた潜在意識は、自分のつくった前提を維持しようと、顕在意識で意図的にコントロールしようとします。
つまり、「甘えたい」と思っても、潜在的に「甘えることはダメ」と思って生きて来たので、自然と甘えることができなくなってしまうのです。
潜在意識と顕在意識について
対処法:自分と他人を許す
しかし、「甘えたい」という本能的な言葉を許してあげてほしい。「人に頼りたい」というのは人の本能なので、それを否定すること自体が、体にストレスを与えます。では、いったいどうやって「甘える」ことができるようになるのでしょうか。
1、自分を甘やかすことを許す
人に甘えることは難しいことのように感じるかもしれませんが、人に甘える前に、まずは「自分のやりたいことや、自分の欲求に従う」ことから始めましょう。
今までは、自分の欲求、例えば「高価なお寿司を食べるなんて、自分を甘やかしている」と思っている人であれば、「たまには高級寿司をご褒美に食べよう」ということから始めましょう。
自分自身を許すことができなければ、相手のことを本当の意味で尊敬したり、優しくすることができません。自分が満たされなければ、相手に対しても本当の意味で尊敬したり、信頼したりできるようになります。
2、他人に健全に甘える=自分がしてほしいことを伝える
自分を甘やかせることが許せるようになって来たら、次は周りの人にも甘えてみましょう。
ただ、いきなり「お金に困っている」などという重たい相談をするのではなく、「今日30分だけ電話してもいい?」など、小さなお願いをすること。
そのお願いは、もしかしたら断られるかもしれません。しかし、断っているのは「そのお願い」であり、あなた自身を否定しているわけではないので、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
甘えを怖がる人の中には、「依存するのが怖い」と考えている人もいます。その依存というのは、「相手に察してほしい」という気持ちが大きくなっている状態。
ですので、健全な甘えとして、「自分がしてほしいことをハッキリと伝えること」を心がけましょう。自分も相手も大切にするためには、「してほしいことを具体的に伝えること」。そして、伝えたら、YesNoは相手に任せるだけです。
相手のお願いに応じることも断ることもできる関係が、健全な甘えをはぐくみ、信頼できる人間関係が出来上がって来ます。
私も初めは甘えることができずに悩んでいたら、「甘えるって考えるからいけないんだよ。人を頼る事って普通のことじゃない?自分で全て解決できることの方が、世の中少ないよ」って友達に言われました。周りの人を見てみてください。案外、小さなことでも、周りの人に頼っていませんか?
人に甘えられないことや、他者との関係の悩みの根源は「自分自身や他者をゆるしていないこと」から生じることが多いのです。逆に言えば「自分と他者をゆるせばすべてうまくいく」のです。
まずは自分を許し、自分の欲求に素直に従ってみる練習をしてみましょう。