「体重を増やさないと、治りませんか?」
という相談をよくもらいます。
結論から言うと、「YES」です。
その理由をお話しします。
低体重でも、不調を感じない理由
低体重でも、不調を感じない理由は、いわゆる「ダイエットハイ」と呼ばれる状態だからです。
食事を制限し、体重が減り始めると、達成感や気分の高揚感があり、体力はないはずなのに疲れを感じにくくなります。
また、自分をコンロトールしているという満足感も得られます。
そして、人は飢餓状態になると、苦痛をやわらげるホルモンが分泌され、それがますますダイエットを加速させます。
だから、不調を感じないのでしょう。
でも、標準体重の70%以下になると、少しずつ限界を感じるようになります。しかし、この頃には「動かないと不安」という強迫観念におそわれ、倒れる寸前まで動き続けることも珍しくありません。この段階で、やっと当事者は「病気」と認識し始め「そろそろ食べないとやばいかも」と気づき始めることが多いです。
低体重によって、体に起きていること
当たり前ですが、飢餓状態になると、体の働きが低下します。
つまり、筋肉がなくなります。
忘れてはいけないのは、内臓や脳などの臓器すべて「筋肉」でできています。
だから、
・脳の萎縮
・心拍数の低下
・体温の低下
・代謝機能の低下
・骨密度の低下
・皮膚が乾燥する
・髪の毛が抜ける
などの変化が徐々に起きているはずです。
体の不調は、よくよく観察すればすでに実感されているかもしれません。
ただ、一番の盲点は「脳の萎縮」だと思います。
そして、私は脳の萎縮が、摂食障害克服の1番の壁になると思っています。
脳の働きの低下によって起きる不調
よく、心と言われますが、心とは脳のことです。
体の不調がない方もいるかもしれません。
でも、自覚していないだけで、メンタルの不調を感じていませんか?
例えば、脳の萎縮が起きると
・集中力・決断力の低下
・感情の抑制ができない
・極端な考え方になる
などの症状が出ます。
1)集中力・決断力の低下
・勉強に集中できない
・スーパーで何を選んだらいいかわからなくなる
・常にぼーっとして眠たくなる
2)感情の抑制ができない
・イライラしやすい
・お母さんにあたりやすい
・すぐ泣いてしまう
・パニックになりやすい
・落ち込みやすい
3)極端な考え方になる
低栄養状態になると落ち込みも激しくなり、冷静に物事を考えたり、自分のことを客観的に捉えたり、あれこれと考える思考の幅が狭くなります。
例えば
「休むことは悪いことだ」
「一口でも食べたら、体重が増え続ける」
「体重を増やすなんて、死ぬのと一緒」
「成績が下がったら、もう生きていけない」
「ガリガリなのに、太ってると感じる」
このような気持ちに心当たりはありませんか?
極端な考え方は、大きく分けて3つの傾向があり
・「0か100か」という白黒思考になりやすい
・「自分はダメだ」など、絶望的・否定的な考えになる
・「〜しなければいけない」など、強迫的な考え方が強くなる
このように、極端な考え方になると、よけいに摂食障害の症状を悪化させ、回復を遅らせます。
まとめ:体を回復させる必要性
体の回復は、単に体力をつけるためだけでなく「メンタル」のためにも必要です。
体重を増やすことは怖い。
でも、
イライラしないため
パニックにならないため
死にたくならないため
に、栄養を取ってあげる
という考え方ができると、食べることを許せる一歩を踏み出せるかもしれません。