過食嘔吐を全解説!原因、心の状態、乗り越え方

過食嘔吐ができるようになった頃は、単純に「たくさん食べても痩せる魔法の方法を手に入れた!」と喜んでいたのも束の間、「1日中過食嘔吐のことを考えて、日常生活に苦しみを感じる」という状態に陥ります。

本日は過食嘔吐の原因、心の状態、乗り越え方を解説したいと思います。

過食嘔吐は依存症

過食嘔吐は一言で言えば、たくさん食べてたくさん吐く症状のある摂食障害です。

しかし、摂食障害の中でも過食嘔吐は「依存症」の側面があります。つまり、依存症の仲間と考えていいでしょう。

だから、アルコール依存症などの仲間と考えていただくとイメージしやすいかもしれません。

依存症のとは、脳内に報酬を求める回路ができあがり、コントロール喪失に陥ってしまい、 やめられなくなる脳の病気です。つまり、脳が報酬を求めてコントロールが効かなくなる、誰にでも起こりうる病気です。

依存症としての症状の特徴は3つあります

・進行性で、脳が報酬を求めてエスカレートする
・性格の変化(嘘をつく、衝動性)
・対処法を学べば、回復することは可能

つまり、過食嘔吐は治療をすれば必ず回復できるのです。

過食嘔吐のタイプ別特徴

カウンセリングをしていて感じるのは、過食嘔吐をしている人は「ガリガリ」とは限らないこと。 あえてタイプに分けると3パターンある印象です。

拒食タイプ|過食嘔吐依存度★★★★★
過食嘔吐をする以外、食べ物を摂取できないタイプ。 BMI17以下の低体重である場合が高い。 毎日過食嘔吐をし、自宅療養中の方が多い。
共存タイプ逃避型|過食嘔吐依存度★★☆☆☆
比較的食事量は少ないが、過食嘔吐をする以外も食事が食べられるタイプ。 BMI17〜22程度で、一見とても健康的に見られる。 キャリアウーマンが多く、仕事に支障がない程度に過食嘔吐をコントロールしている。
共存タイプ快楽型|過食嘔吐依存度★★★★☆
過食嘔吐をしながらも日常生活を送れるタイプ。過食嘔吐を楽しみ、罪悪感を感じていない。 苦しく感じないので、治療をする意思はあまりない

この中で、快楽型はあまりカウンセリングでお会いすることはありません。そもそも、本人が過食嘔吐をすることに困っていない場合が多いです。

拒食タイプは、カウンセリングでもよくお会いしますが、治療離脱率が高い印象です。それは、過食嘔吐依存度が高い、つまり過食嘔吐が生活の一部になりすぎているから。
また、家族から過食嘔吐のお金を援助してもらっている場合が多く、やめたい気持ちは少しはあっても、デメリットを感じていないケースが多いです。よく、食べ放題など外食する行動が見られます。

ボリュームゾーンは共存タイプ逃避型です。彼女たちは、過剰適応(ある環境に合うように、自身の行動や考え方を変える程度が度を超えている状態)している場合が多く、周囲に期待されやすかったり、仕事で成果を出している方が多いです。周りにはとても素晴らしい人に見えてしまいやすく、周りに過食嘔吐を隠し、過食嘔吐とうまく付き合いながら生活する傾向があります。

共通する特徴
  • とにかく太りたくない
  • グルメ・食べたいものがたくさんある
  • 過食が唯一のストレス発散
  • 白黒思考(認知の歪み)
  • カリウム不足(身体症状)
  • 唾液腺の腫れ(身体症状)
  • 歯が溶ける 

拒食の方と比較して、一番の特徴は「食べることが好き」という点あげられます。
しかし、本人は「食べることを恥ずかしいこと」と捉えている場合が多く、他人の前では比較的拒食傾向があります。

心の状態/自殺率は18%

過食嘔吐の方は見た目は健康的な方が多い一方で、心は一番ダメージを受けている場合が多いです。

摂食障害の症状別の死亡率を見ると、想像以上に過食嘔吐の死亡率が一番高いです。

  • 拒食症10%
  • 過食症0.3%
  • 過食嘔吐18%
※参考:http://www.sessyokusyougai-clinic.com/ed/mortality.html

拒食症は栄養失調が原因で死に至ることが多いのに対し、過食嘔吐は「吐く」という行為を続けることにより体はかなりの負担を抱え、気分が落ち込む・憂うつになるなどの精神的な抑うつ症状を追ってしまいます。

過食嘔吐は吐くという一時的な帳消し行為により、過食⇨嘔吐⇨飢餓からの過食欲求⇨嘔吐、という負の連鎖に陥り、病気が長引いてしまい、摂食障害が重症化したり、他の精神疾患を併発したりしやすいのです。

過食嘔吐を克服するキッカケ

では、過食嘔吐を「治したい」と思うきっかけは、どういう場合があるでしょうか。

  • 過食嘔吐による体力、メンタル、経済的な限界
  • 嘔吐しているのに代謝機能の異常により太り始める
  • 大切な人を守るため
  • 夢を叶えるため
  • 他者に迷惑をかけている罪悪感を解消したいから
  • 自分自身が臭う、不衛生

過食嘔吐が長く続くほど、克服の道のりは困難になってきます。
できるだけ早く、克服するきっかけに出会うことが大切です。

過食嘔吐の治療法

過食嘔吐は依存症です。当事者本人一人ではすでにコントロールができず、克服できない状態になっている場合が大半です。

克服には周囲の手助けが不可欠。カウンセリングをうけ、ストレス発散方法や自己表現方法を模索する必要があります。自分自身に向き合い、痩せ以外のアイデンティティを見つけることが大切でしょう。

基本:認知行動療法

基本は認知行動療法です。
自分自身の心に向き合い、依存しなければならないほどの心の苦しみを紐解きます。
また、考え方の癖を知り、実践することが大切です。

(1)引き金を知る

過食嘔吐を引き起こす「引き金」をチェックします。

HALTに分けて考え、自分の引き金になるものを知り、それらを感じる原因や、対処法を考えます。

hungry; 空腹感/happy; 幸福感/hurt; 傷ついた)」
angry; 怒り/anxiety; 心配や気がかり)」
lonely; 何もすることがない/孤独感)」
tired; 気疲れ/疲労感)」

(2)正しい食事の知識を学ぶ

過食嘔吐の方は、極端に摂取カロリーが少なかったり、ジャンクフードを普段吸収しない傾向があります。
そのような状態だから体は飢餓になり、過食欲求が起きてしまうのです。

偏った食事を適切なラインに戻し、普通の食事で満足できるようにトレーニングをします。

(3)過食嘔吐以外で自分を満たすものを探す

過食嘔吐をする理由を聞くと
「時間をどうやって過ごしていいかわからない」
という回答がよくあげられます。

「時間を埋めるために、とりあえず満たされる過食嘔吐」
という習慣が定着している方も多いです。


つまり、過食嘔吐に依存しているんだよね。

不健康な依存先の一極集中を克服するためには
健康的」な依存先を、「数多く」持つことが重要になってきます。

その健康的な依存先とは、「心を満たす心地よさ」だと私は考えます。

心を満たす選択肢は、五感を使って、「小さな幸せ」を感じて心を満たすことです。
誰かに自慢したくなるような趣味や、やりがいのある仕事などに求める必要はありません。
 

過食嘔吐以外で自分を満たす方法を見つけていきましょう。

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