過活動が過食の原因になる。運動脅迫のやめ方のヒント

摂食障害には様々な症状がありますが、その中の一つ「過活動」について本日はお話しします。

症状としては、「常に立っていないと気が済まない」「行き過ぎた厳しい運動メニューを組んで実践する」「悪天候にもかかわらず脅迫的にウォーキングする」など、太ることを恐れて、必要以上に運動することがあげられます。

過活動に陥る人の傾向

過去の私は

  • 雨でも猛暑でも1日3時間のウォーキングをする
  • 腹筋を1日100回する
  • 長時間座っていられない
  • エスカレーターではなく階段を使用

という傾向がありました。

 

上記の記事にも書きましたが、過活動に走ってしまう方は、
「拒食」の方、「非嘔吐過食」の方が多い傾向にあります。

面白いことに、嘔吐できる方の中で過活動する方はあまり多くありません。

つまり、排出行動のない方に見られます。
(統計を取ってはいなけれど、臨床の肌感です)

なぜなら、過活動は「体重増加を防ぐための代償行為」なんですよね。
つまり、過活動の原因は「太ることへの恐怖」が根っこにあります。

拒食の方は、「とにかくカロリーを消費させたい」
非嘔吐過食の方は「過食したぶんをチャラにしたい」

という気持ちがあります。

しかし、嘔吐ができる方は
「嘔吐することでチャラにできる」と思っているので
拒食・非嘔吐過食の頃は運動をしていた方でも
過食嘔吐に移行して運動をしなくなる傾向があります。

中には運動をする方もいますが、過活動ほど動く方はマレです。

過活動をやめる決意ができた理由

さて、では私が過活動をやめようと決意できた理由をあげてみます。

  • 運動する時間のせいで本来やりたいことがでいない
  • 日常生活に支障が出る(座ることが困難・約束ができない)
  • 疲労
  • 過活動が過食を招くと知った

この中で「過活動が過食を招く」ということを知ったことが一番衝撃的で

「もしかしたら私の過食欲求も、過活動が原因なのかもしれない」と思うようになってから、少しずつ運動を減らすことができました。


では、この理由を解説します。

過活動は過食を招く

「過活動が過食を招く」つまり、

過剰に動くことが、過食を引き起こしているという事実があります。

どういうことかというと、

  1. 過活動をする
  2. ⇨必要以上のエネルギーが消費される
  3. ⇨脳が体に省エネモード発令
  4. ⇨体はエネルギーを欲して過食

という状態に陥ってしまいます。

つまり、体は運動で消費したぶんのエネルギーを貯めようと省エネモードになり、代謝をさげようとします。
その結果、異常な眠気を感じたり、摂取エネルギーを増やすために過食欲求がわきやすくなります。

痩せるために運動していたのに、
太りやすい体を作っているなんてショックですよね。

しかし、この状態を治すことはできます。

その方法は「必要な量を食べて、運動も適量に減らすこと」という非常にシンプルなもの。

 

飢餓で脳が省エネモードの指令を出してるので、

栄養を与えて、それを解除してあげる。

そして、運動量に見合った食事を摂りましょう。

 

あたりまえのことですが、これが一番持続可能な健康的に生きる方法です。

適切な運動量と食事量については、人それぞれ異なるので「これをやれば正解!」ってことはないので
その人に合わせてカウンセリングでアドバイスさせていただいてます。

ただ、私とクライアントさんの経験から言えることは、

筋トレは45分を週2日以上やってもあまり劇的な効果がないことと、
運動を増やす意識よりも睡眠を8時間とり、
食事のバランスを見直したほうが体重は減らないけど増えもしないものですよ。

寝たきりのおばちゃんでさえ、
入院中の病院食1600〜1800kcal摂取しても体重は増えません。

つまり、運動をする方はそれ以上食べなければ
逆に代謝の悪い体になるということはご理解いただけると思います。

 

運動の減らし方

では、運動を減らす方法を解説します。

ポイントは、メンタルと行動面の両輪で治療することです。

【メンタル面1】運動する自分=頑張っている自分・罰を受けている自分という認知の歪みに気づく

運動脅迫のある方の多くは、

他の人と比べて頑張っている」
「何かを我慢することが偉い」
と考える傾向があります。

確かに、拒食のころは、周りと比べて痩せていることが優越感で、それが自分の価値として自信になっている方も多いはず。
(でも、これはかりそめの自分)

そして、何かを我慢することで自分を褒めてあげる思考の方も多いです。
(これは、幼少期の親や学校の教育が影響しています)

もし、自分は周りの人よりも頑張っているという実感が欲しいだけで運動をしているのならば、私はとっととやめていいと思います。

アスリートのように運動をして目指したい目標があるのなら別ですが「他の人と比べて頑張っているという優越感が欲しいだけ」というのは、本来の運動の目的と本質とズレた考え方。そして、確かに運動してきれいな体をしているあなたを、周りは羨望の目で見るかもしれませんが、それは一瞬。誰も運動して疲弊しているあなたになりたいとは思わないでしょう。

また、過活動は自傷行為のようなもの。そうしなきゃ生きている価値を感じられなかったり、苦しんでる自分に安心している場合もあります。つまり自分の価値を過小評価しているので、何か罰を与えていないと生きていいと思えないんですよね。

過活動をやめられない気持ちに隠れた「運動をしなければ自分を保てない」という認知の歪みに気づくことが運動をやめる第一歩です。

また、「頑張っている自分」を評価する方法が運動と食事を減らすことしかない人が多いので、それ以外に頑張っていると思えることを見つけてみましょう。小さなものからで構いません。例えば「毎日学校に行っている」「お風呂掃除をした」「摂食障害を克服するために、運動以外のものに目を向けてみた」などでもいいんですよ。

【メンタル面2】食事と運動を切り離す

「食べすぎたから運動しなきゃ」

「たくさん食べたいから運動しなきゃ」

と考えている方がいますよね。

 

しかし、食事は、運動してカロリーを燃やせばプラマイ0になるような単純なものではありません。

人は食べるから動けるのであって、食べたいから動くのは歪んだ思考です。

まずは食事と運動を切り離して考え、食事は食事、運動は運動で考える癖をつけましょう。

 

過食後に運動したくなる気持ちもわかります。
ただ、60分以上苦しい運動をしてストレスを溜めるくらいなら、お風呂の湯に使ったり、友人に電話したり、いっそ寝てしまった方がいい場合もあります。

嘔吐の治療と一緒ですね。過食ではなく、先に代償行為をやめる努力をしましょう。

【メンタル面3】運動で失っているものに向き合う

運動を数時間することによって失っているものはありませんか?

例えば、睡眠時間、勉強時間、テレビや映画を見る時間、趣味を楽しむ時間、誰かと遊びに行く時間など。

運動しかない!と思っている方は、思い込みです。それしか見ようとしていない状態です。

または「運動をすることによって目を背けている問題」もあるかもしれません。

 

運動することを正しいことと思い込みそれだけに時間を割いていると、どんどん自分の内面に誇れるものなくなり、どんどん摂食障害を手放せなくなっていきます。

でも、だれも運動を過剰にしているあなたを魅力的には思わないでしょう。

 

そんなに苦しい思いをしてまで運動ができるのであれば、そのエネルギーを他のものに向けてみると、ものすごいスキルが身についたり何かを発揮できたりできるはず。

それを見つけて、それを誇りにして欲しい。

普通の人でも「とりえ」を見つけるのは大変なので、熱中できるものを探すのは、なかなかストレスを感じることだと思います。

でも一度、その頑張って努力して身につけたスキルが、自分の自信になるものだと気づけば、それは一生ものの価値です。

 

【行動面】

1日10分ずつやめる

私の場合は運動を1日10分ずつ減らしていきました。1日単位が怖いのであれば1週間単位でもいいと思います。

例えば、1日60分走っているのなら、

「今週は50分にする」
⇨体重変わらないと実感

「翌週は40分にする」
⇨体重変わらないと実感

運動を10分少なくしたからといって、体重が急激に増えないことを実感し、さらに減らしていくという過程が負担なく取り組めるのではないでしょうか。

現在、私は1日2000kcalくらい食べ、ほぼ家で過ごす生活をしてますが太りませんよ。それくらい、人って運動しないからってぶくぶく太るものではありません。

 

また、運動をやめた時間を使って自分の好奇心をかきたてて、熱中できるものを探してみませんか?

1日10分でもいい。本屋で雑誌を立ち読みしてみたり、ネットで誰かのインタビュー読んだり、自分の知らない世界に触れてみてください。

世の中、運動以外にあなたを魅力的にすることは、たくさんあると気づくはずです。

しかし、趣味を始めることってエネルギーを消耗するもの。絵を描いたり、ダンスをしたりするような、自分から動かなければいけないものより、映画を見たり、本を読んだりするような受動的なものから始めてみることをおすすめします。

 

 

摂食障害は、痩せることを最優先にした結果、日常生活に支障が出る病気です。

行き過ぎた運動を脅迫的に行うことも、摂食障害の一種ということを理解し、徐々にやめていく工夫をしてみましょう。

昨日と同じ今日を過ごしていては、何も変わりません。1日5分でもいいので、運動を短くできるといいですね。

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