【当事者リアル】克服しようと思ったきっかけを聞いてみた

Instagramで週1回、当事者の声を集めています。
第4回目は「克服しようと思ったきっかけ」を聞いてみました。

数々の回答をお寄せいただきました。みなさんありがとう。
回答を7つに分けてコメントしたいと思います!

■克服の第一歩は「回復の動機」

今回なぜ「克服のきっかけ」を聞いたかというと、摂食障害治療の1番の課題は、「摂食障害の状態から抜け出したい」と思える第一歩を踏み出すまでに時間かかかる点にあると私は思っています。

餓死寸前の低体重でも運動ができたり、過食や嘔吐がありながらも仕事ができたり、生理がなくても危機感を感じられなかったり。このように、症状に苦しみながらも「ダイエットの延長」と捉えて、日常生活を送っている当事者が大半です。そのため、摂食障害を「重大な病気」という自覚を持てず、知らず知らずのうちに重症化する傾向があるように感じています。

しかし、「日常生活を送ることができている」と錯覚する裏では、生きづらさを必ず感じているはずなんですよね。それを認められるかどうかが克服の一歩を大きく左右します。

今回は、みなさんの克服のきっかけを紹介することで、みなさんと一緒に「摂食障害を治したい気持ち」に気づき、健康になりたい心を一緒に育てていけたら嬉しいです。

【1】摂食障害でいることに疲れた

私も克服したくなった理由の一つが「疲労」でした。

例えば
・1キロカロリーまでこだわったカロリー計算
・決まった運動メニュー
・体重の増減に対する一喜一憂
・カロリーが書いていない外食はできない
・決まった時間にしか食事ができない

このようなマイルールの数々に、体力的にも精神的にも疲れてしまったんですよね。そしてカウンセリングの門を叩く方もこの理由が大半です。みなさんも「一生続けることは馬鹿げているから、いつかはやめなければいけない」と、薄々気付いているはずです。

摂食障害になると、食事や体重が全てになり、自分の心の動きを大切にしづらくなります。

きっと「普通になりたい」と感じるのも「人間らしく生きることができない自分に疲れた」という心がそう思わせているのだと思います。

【2】大切な人を悲しませたくない

これも多いですよね。特に「最初は親のため、次は自分のため」に元気になりたいという左上の意見、その順番はすごく的確にみなさんの心を表現していると思います。

そうなんですよね、一番初めは「同居している家族に迷惑をかけたくない」というのが、「克服しなければ」と思う第一歩なんですよね。
ただ、これって「克服したい」というより、「克服しなければ」という気持ちが強く、「自分の幸せより、相手の幸せのために」という視点が強いです。もちろん、克服したい動機はどんなものでも構いません。しかし、本当の意味での克服の一歩って「自分のために治したい」と思えることなんですよね。

だから、第一ステップは誰かに迷惑をかけないため。第二ステップは自分のため。と、克服する理由はその都度変わっていくものだと思います。

さらにいうと、第三ステップがあります。それはもう一度「誰かのために強くなりたい」と思う瞬間です。

自分の幸せのために生きられるようになると、家族以外の第三者と信頼関係を築けるようになります。そうすると、「第三者を幸せにしたい」と思えるようになるんですよね。ただ、相手を幸せにするためには、自分自身のことを大切にして、「力をつける必要がある」と気づくんですよね。

その力というのは、権力とか経済力ではなく、メンタルの強さです。

相手が落ち込んでいたら、全力で寄り添ってあげたり、相談に乗ってあげたり。そのときに、「私がいるから大丈夫」という説得力がほしくなるんですよね。誰も、痩せて、摂食障害に振り回されている人に甘えられませんよね。どこかで「あなたも大変なのにごめんね」という、遠慮が出ちゃう。

そういう意味で、大切にしたい人のために、自分を整えておく必要がある、って気づきます。

もちろん弱い面があっていいです。私だって弱々です。でも、誰かを支えられるだけの心の余裕はあります。誰かに怒られても、ののしられても、へこたれない、カウンセリングをできるくらい心の余裕があります。

まとめると、第一ステップは「誰かに迷惑をかけたくないから」
第二ステップは「自分のやりたいことを叶えるため」
第三ステップは「誰かに幸せを与えられる、心の余裕をつくるため」に摂食障害を乗り越えたいと思っていくのだと思います。

【3】やりたいことができた

これも大切ですよね。ただ、やりたいことができれば、回復するわけでもありません。回復過程で、中には「やりたいこと」が出てくる人もいます。

だから「克服のためにやりたいことを見つけなければ」と思うのはちょっと違うと思うんですよね。やりたいことは、やりたくなるタイミングで自然と湧き上がるものです。

ただ、やりたいことができると克服のスピードが早まるので、やりたいことの芽は育てたいですよね。

それがいつもいっている「健康的な依存先」を増やすことです。もっと簡単にいうと「心地いいと思えるひと時」を増やすことです。

映画を見るのもよし。小説でもよし。自己理解でもよし。
自分の好きなものに囲まれて、嫌なことから解放される時間をつくっていきたいですね。

【4】働きたい

休職すると、やっと「働けない、やばい」って気づくものですよね。
でも、復職するためには絶対的に「休息」が必要です。今まで体と心を酷使してきた分、休まないと回復しません。これは、学校に行っていた子が不登校になる場合も同じですね。
「働かなければ」ではなく、「働きたい」と思えるまで。「学校に行かなければ」ではなく「学校に行きたい」と思えるまで。そこまではとことん休んでくださいね^^

【5】痩せ体型に価値を見出す自分がダサい

これに気づけたことがすごいと思います。私も最後に摂食障害というか、「痩せにこだわる心」を手放したくなったのは、これが理由でした。

周りの友達はなにか「好き」と言い切れるものがあり、「痩せ体型は二の次」という雰囲気がありました。一方、痩せを最優先するあまり、他のことに興味を持てずにいた私は何も語ることができませんでした。そんな空っぽな自分を恥ずかしく思いました。
痩せた姿を自分の自信にしていると、いつか痩せをコントロールできなくなった時に、自信すら手放すことになると気づきました。彼女たちのように体型とは関係のないところで何かに夢中になり、幸せを感じたいと思うようなりました。

ここからの学びは、憧れは克服を加速させるということ。痩せとは別の軸で憧れる人を見つけることが、克服のモチベーションになります。また、その憧れの人たちも普通に悩み、普通にコンプレックスを抱えながら生きていることを知ると、さらに痩せにしがみつくことの無意味さに気づくはずです。摂食障害を手放しても悩みはあっていいし、失敗や挫折をしてもいいのです。

摂食障害の自分を救ってくれる情報や刺激は、全く別のコミュニティであることが多いです。おそるおそるでも外に目を向け、世界の広さを知ることは、治るきっかけの一つになります。

■まだ克服に踏み切れない方へ

この子たちはまだ「病気でいるメリット」を感じすぎてしまっているんですよね。それがいい悪いという話ではなくて、まだ痩せにしがみついていたいステージだと思います。そして、きっと痩せていることで、命を保っているんだよね。

ただ、もし少しでも「克服したい」と思える心を育てたいのであれば、摂食障害によって犠牲になっていることを認識することが、治療に踏み切る一手になる場合が多いです。
寒いとか、友達付き合いが減ったとか、そういうデメリットをあげてみることからまず始めてみましょう。

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