眠たいのに食欲が勝ってしまい、深夜の過食がやめられない。
という方が、カウンセリングをしていても非常に多いです。
今まで、過食原因は「疲労」にあるというお話もしてきましたが、今回は「睡眠不足」が過食原因になる理由を説明します。
睡眠不足が過食につながる理由
ズバリ、睡眠不足が過食につながってしまう原因はホルモンの影響です。
生理前に食欲が暴走するように、ホルモンの働きには、「意思」では太刀打ちできません。
「短時間睡眠のエネルギー消費、深部体温、食欲に与える影響」という論文では、小腸に多く分布するPYYという食欲抑制ホルモンは、3.5時間睡眠と7時間睡眠を比較すると、3.5時間睡眠の方がホルモン分泌量が低くなるという結果を発表しています。つまり、3.5時間睡眠では食欲の抑制が効かない傾向になっていたのです。
そして、面白いことに寝る時間が遅くなり、夜間のエネルギー消費量が増加したにもかかわらず、1日の全体のエネルギー消費量には変化がなかったそうです。つまり、寝たらカロリー消費できないと思って寝ずに頑張ったとしても、その頑張りは無駄になると言うことです。
もう一つシカゴ大学の研究によると、人間は眠い時の方が明らかに間食が増えるのだそうです。
2週間の睡眠時間制限の後では「通常は健康的な食事を摂っている人でも、間食で200キロカロリー以上多く摂取してしまう」という結果が出たそうです。しかも、間食の内容は炭水化物や糖分中心の食べ物で、ほとんどが夜7時〜朝7時の間という最悪の時間帯に摂取されていました。
この実験からは、不健康な食事を避けようとする判断力も、睡眠不足によってかなり落ちてしまうこともわかりました。
また、疲労や寝不足などストレスがたまっている状態では、脳の神経伝達物質のセロトニンの分泌が少なくなり、その結果様々な悪い症状が体に現れ、その一つに「過食」もあげられます。
マイルールが過食につながる理由
次に、睡眠にまつわるマイルールが過食を産んでいるケースをご紹介します。
人は「眠い」「だるい」という体の感覚を感じ、眠気や食欲が増すのは自然なことです。
しかし、摂食障害の方は、自分の感覚よりも「マイルール」を優先する傾向があり、様々な欲求を我慢しがちになります。
例えば、摂食障害の方は「食後3時間以内は寝てはいけない」「22時前に寝てはいけない」のようなマイルールを設定している方もいますよね。
そうやって、自然な欲求をマイルールの中で否定すると、本当の欲求を我慢している状態なので、いつのまにかストレスをためてしまいます。
こうなると体は欲求不満になり、何かしらの形でストレスを発散させようとします。
そこで、欲求を満たす一番手軽な「食べる」という方法に意識が向き、過食につながります。
そして、摂食障害の私たちは「食べることを一番ダメ」、さらに「夜の食事はダメ」と感じているので、「夜の過食」という自分では許し難い行為に罪悪感を感じ、さらに自分をせめてストレスが溜まり、結局過食しかストレス発散方法がなくて爆発するという悪循環に陥ります。
拒食から脱出すると過眠傾向になる理由
一般的に拒食状態の方は、体の防衛反応から眠りが浅くなると言われています。
そして、拒食症状から食事がとれるようになると、体のだるさや眠気を感じられるようになります。
これは、マイルールが和らぎ、体の声を聞ける体制に傾き始めた証拠のようにも感じます。だからいい傾向だと私は思います。
よく「拒食の頃はあんなに動けたのに、過食になったら怠惰になった」と訴える人がいますが、「過食になって、普通の感覚がわかるようになり、正常な状態に戻った」と捉える方が自然だと思います。つまり、拒食の頃は、自分の体の声を無視していたので、不自然だったんですよね。
そもそも、「休むこと=怠惰」という考え方が根本にあると、休むことを肯定しづらく、休めるようになっても罪悪感で苦しむことになります。
自分の中の「休むこと」のイメージを言語化し、例えば「休むこと=ダメ、怠け者、時間がもったいない」など、それらの偏った考え方を適切にしていくことが、心地よく休めるようになるコツだと思います。
睡眠不足からの過食を減らす方法
寝不足からの過食をしないために、
「眠気を感じたら、無理やり布団に入る」という意識をぜひ取り入れてください。
過食は必ず理由があります。
その過食が単にストレスから誘発されたものでなく、習慣化されたものであれば、生活を工夫することでしか対策できません。
例えば、仕事終わりの帰宅後、夕飯を適度に食べた後に、過食欲求がきてしまうようであれば、「安心できるものでいったんお腹を満たしたら、一度歯を磨いで、お風呂に入って、布団に入る」という方法を1日だけでいいので試してみてください。
始めは過食がしたくてたまらなくなるかもしれません。時間がもったいないとおもうかもしれません。
でも、1度習慣づいてしまうと、体のリズムが整うはずです。
人は生活習慣を変えることが一番ストレスを感じるものですが、過食の罪悪感と天秤にかけて、睡眠確保に気持ちを傾けられるといいですね。
その他、過食を止める7つの方法は下記の記事を参考にしてみてください。