「休む=怠けている」ではない。休息が克服の第一歩

摂食障害の方は、休むことに罪悪感を感じやすい

「私が仕事を休んだら、誰かに迷惑をかけてしまう」という責任感。
「ここで学校を休んだら、授業についていけなくなる」という完璧主義。

摂食障害の方って、努力家で頑張り屋さんが多いですよね。「休む=怠けている」を考えている傾向が強く、「まず休みましょう」と言ってもなかなか行動に移すことが難しいですよね。

そんな努力家だからこそ、決めた目標体重に向かって努力でき、過剰な運動メニューを苦しくても毎日こなし、結果的に摂食障害になってしまうのでしょう。

そして、仕事や学業に対しては、上司や先生に認められたい、いい成績をとりたい、任された仕事は断りたくない。そんな考えが拭えない方が多いです。

また、休むことに罪悪感を感じている方は、うつ傾向があるように感じます。うつは脳のエネルギーが欠乏した状態であり、それにより憂鬱な気分になったり、睡眠や食欲などにも影響が出ます。

「まず休みなさい」の意図するところ

体の不調を感じ始め、お医者さんやカウンセリングにいくと、ほぼ9割の確率で「休みなさい」と言われますよね。

なぜまず「休め」と言われるのかというと、下の図をご覧ください。

上記の図はストレス対処の基本型といわれるものですが、この図からも分かるように、体調にトラブルを感じ、それを解決するためには「休養」を第一にすべきとされています。

休むことで心のエネルギーを回復させ、やっとカウンセリングを受けたり、自分の心の問題に向き合えるようになります。つまり、心のエネルギーが溜まっていない状態では、せっかくカウンセリングをうけても、先生の言うことをうまく理解ができず、客観的に物事を判断できません。

また、摂食障害で低体重の方は、まずは体の治療をし、ある程度体力が回復した時点でカウンセリングを実施できると判断されることが多いです。

つまり、心のエネルギーが回復してきた段階で、やっと客観的に自分を直視できるようになります。

だから、休むことを怖がらないでください。今まで自分に厳しく生きてきた分、めいいっぱい自分を甘やかしてあげてください。そうしないと、いつまでたっても、心が疲れたままになりますよ。

 

ではなぜ、摂食障害の方は頑張り屋さんの気質があるのでしょうか。

自己肯定感の低さから、完璧を求めてしまう

摂食障害になる方は、自己肯定感が低い方が多いというのは有名な話ですよね。

自己肯定感が低い、というのは具体的には

「自分は何をやってもダメな人間だ」
「誰の、何の役にも立たない」
「周りに迷惑をかけてばかりだ」

などを常に思っている人。

だからこそ、自分の欠点を許せず、社会で「良い」とされる行いを完璧にしようとします。

例えば、「過剰な人への気遣い」「厳しい体型管理」など。

しかし、いくら完璧を目指しても、根本的には自己肯定感が低いままなので泥沼化。「もっともっと頑張らなければならない」と思って、さらに無理をして、心の病気になってしまうのです。

「無理をすること=良いこと」ではない

「無理をして頑張るのは良いこと」という考え方は、日本に根強く残っています。小さい頃からそのような環境で育った私たちが、無理に頑張りすぎて心を病んでしまうのは、自然なことなのかもしれません。

しかし、世間で美徳とされていることも、健康を害してまでやることは美しくも偉くもありません。

まず、不健康になることは会社にとってコストであるので、仕事に影響が出るリスクがある時点で周りには迷惑をかけています。

だからこそ、自分のキャパを受け入れて休む勇気も必要。休むことは一見怠惰に見えるかもしれませんが自己管理の一つ。休むことも仕事なのです。

いきなり「休む」ということを美徳とは感じられないと思いますが、「疲れた」と感じたら素直に休んで、自分をリラックスさせてあげましょう。いいんですよ、休んで甘やかしたって。自分にお金をかけて甘やかしたって。甘やかす、というより「ご褒美」や「休息」と置き換えて考えましょう。決して休むことを「怠惰」と置き換えて考えないように。

最後に、「摂食障害=病気」と診断されたら、患者さんは治す義務が生じます。そして、心の回復には「休養」が一番の薬です。今が、休むきっかけになるチャンスの方もいると思います。私はその方々の背中を押したいな。もう、休んでいいんですよ。

 

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