摂食は個性?痩せ以外のアイデンティティを育てる

心の回復

今回のは「痩せをアイデンティティにしていませんか?」という内容で、当事者であれば心にグサグサくる記事かもしれません。しかし、この問題は摂食障害になった全員が向き合わなければならないことだと思っています。ぜひご一読くださいませ。

摂食障害は見せかけの自分

摂食障害になり、「痩せ」にとらわれるようになったのは「痩せていなきゃ自分自身の存在価値を保てない」という観念にとらわれた結果。

つまり、痩せ願望の根底にある「自分自身の価値がわからない」という問題を、摂食障害という病気=痩せていることで解決しようとしている状態です。

だから、摂食障害にとらわれた自分は、本来の自分の姿ではないのです。

私もかつては、「摂食障害でいること」が私を私たらしめていました。つまり、摂食障害(痩せている自分)というものが、アイデンティティとなっていました。

痩せていることで優越感にひたったり、自己肯定感を高めたりしているうちに、せっかく努力して手に入れた痩せた自分を、そう簡単には手離せなくなっていました。

でも、残念ながらそれはかりそめのアイデンティティでしかありません。

病気の真っ只中にいて、痩せている体型へ執着があるかぎり、本当の自分のアイデンティティを自覚できなかったり、痩せている姿に居心地の良さを感じたりしていると、あたかも痩せた自分が本来の姿のように思えてきます。

(だから客観的な視点で、心の問題に向き合うサポートをするカウンセラーや専門医に相談することが大切なのです、が、その話は置いておきます。)

長引くほど個性の一部になりやすい

摂食障害が5年、10年と長引いてくると、社会復帰が遅れたり、摂食障害のある日常が当たり前になって慣れてしまったり、治った先の未来が想像しづらくなったり、治療に前向きになれなかったり

完治が長引くほど重症度が高まり、治すことを諦めてしまう方が多いようです。

また身体的にも病気が長引くと体の働きを支える栄養バランスやホルモンバランスが乱れ重症化。だからこそ、摂食障害も他の病気と同じように、早期発見と治療が大切、と言われているのでしょう。

そして、長引けば長引くほど、「摂食障害とうまく付き合って生きていく=摂食を個性の一部として生きていく」という考え方になる可能性が高いです。

また、長引くほどプライベートで病気をカミングアウトすることも増え、それがその人の個性としてみられ、そのことに居心地の良さやアイデンティティを見出す方もいます。(自分のありのままをカミングアウトすることはいいことだとは思いますし、私は積極的に周りの人に頼ってもいいとも思いますが、個性の一部にし続けるのは、完治を妨げると考えています。)

個性にするのがすべて悪いという訳ではなく、克服する過程でうまく付き合いながら完治を目指すことは、克服する最終段階で多くの方が通る道です。

ここで問題視しているのは、摂食障害が個性の一部になってしまい、そこに居心地の良さを感じて、「克服する=摂食障害のアイデンティティを手放す」ことを怖いと思ってしまうこと。

「摂食障害だけど、頑張って食べてる自分」「摂食障害だけど、他の人と同じように仕事をしている自分」などと、「摂食障害」であることが、他の人よりも「頑張っている証」として捉えていると、摂食を手放すことが怖くなるのだと思います。

また、痩せをアイデンティティにしてしまうと、「常に痩せてなければならない」というプレッシャーに襲われます。「太ったら私ではなくなる」と思い込み、太ることを極度に恐れているのは、健康的なアイデンティティではありません。

摂食障害は本来、個性ではありません。「食べる」「食べられない」は病気の症状です。これを読んでいる方には、病気と共存=個性として内在化するのではなく、完治を目指してほしいです。

本来の自分を愛してもらうために

私も異常に痩せていることで心配され、かまってもらえることで安心していました。

しかし、まわりの心配から感じられる愛情ではなく、内面や自分のできることで愛してもらいたいと治っていく過程で思うようになりました。

また、摂食障害だけど、みんなと同じように仕事をしている自分がすごいと思って、それを心の支えにしていました。

しかし、やりたい仕事をするには、摂食障害は邪魔だと思えるようになりました。

体が元気になれば、できる選択肢が増える。できることが増えることによって、周りに認められ、自分の自信になり、好きな部分が増える。

だからこそ、何よりも低体重を脱し、健康になることが第一歩だと私は考えます。

できることは、治る過程で探せばいいだけ。焦らず、失敗を繰り返しながら好きなことや熱中することを見つけ、自分の中の成功体験を増やしていき、少しずつ「摂食障害にとらわれない自分」を取り戻せたらいいなと思います。

痩せを手放した時に、空っぽな自分にならないために

この病気は体重が戻ったからといって、完治するわけではありません。

むしろ、私は体重が戻ってからの方が「痩せを手離した私には何も残ってない」という消失感で精神的につらかったです。

でも、この「つらい」「苦しい」というのは成長痛のようなもので、それこそ自分のアイデンティティ確立のために必要な苦しみであり、必要な過程でした。

体重が回復した時に、空っぽな自分に愕然としないために、克服する過程で、痩せ以外の自分の好きなところを、少しずつ見つける努力をし、磨いていきましょう。

痩せ以外のよろこびを見つけるコツ

摂食障害って食事の病気だからこそ、食生活と生活習慣を見直さなければならず、それが一番ハードルが高かったりする。

習慣を変えるほどストレスってありませんから。

でも、その生活習慣を変えるために必要なことは、治った先の自分のイメージができていること。つまり、「目標や生きがい=やりたいことがある」こと。

まずは、1日の中で痩せる努力や外見にこだわる時間を減らし、自分の好きなことや熱中できることを探してみてください。

ただ、摂食障害の方に限らず、誰にでも「熱中できることを探す」ことは難しいことだと思います。摂食障害の方は特に、始めは「食べることが好き」ってなる方が多いと思います。

そこで大切なのが、無理矢理にでも他に興味を持ったものを、とりあえず一定期間続けてみること。一定期間続けると、好きな部分が見えてきたり、愛着が湧いてくるものです。

私の試してみたこと

絵を描く 1日30分
ベーグルを作る 週に1回
ドラマを見る 1日60分 など

些細なことかもしれませんが、すべては小さなことの積み重ね。1年後に絵がとっても上手くなっているかもしれないし、好きなものに熱中することで、そこからまた新たに興味を持てるものが増えたりします。

摂食障害をアイデンティティにするもしないも自由

よくSNSをみていると「治すのは諦めた!摂食障害と上手くつきあう!」と公言している方もいますが、正直それは個人の自由。摂食障害を友達に公言し、それを一つの個性として捉えて生きている方もたくさんいます。

しかし、私は摂食障害を個性として生きるのではなく、摂食障害というかりそめの自分を抜け出し、痩せ以外の人生の喜びを味わって欲しいという立場で記事を書き、カウンセリングを続けています。

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