過食予防のための、健康的な依存先とは

instagramで週1回、当事者の声を集めています。
第5回目は「食事以外の時間の過ごし方を教えて」という質問。

数々の回答をお寄せいただきました。みなさんありがとう。

まず、なぜ今回この質問をしたのか。その意図をお話ししておきます。

なぜ克服に、「生活の中の心地よさが必要なのか」

■摂食障害が回復するための5要素

私の思う、回復するための5つの要素がこちら。

【1】体のケア
体や脳機能の特性による不調は、医療の力をかりて回復を目指す
【2】心のケア
自分に向き合い、自己理解を深める
【3】客観性を養う
客観視する力を身につけ、極端な思考を緩和する
【4】食事のリハビリ
間違ったダイエット情報を紐解き、偏った食生活を改善する
【5】生活の充足
生活習慣を整え、健康的な依存先を数多く持つ

その中で、「生活の充足」を見つけることが難しい人が多いです。
生活の充足とは、「心地よいと思いながら過ごせる時間」だと私は考えます。

■ドーパミンとエンドルフィン

摂食障害さんは、いわば「ダイエット依存」です。ダイエット100%の生活になり、本来の社会生活が送れなくなるのがこの病気です。しかし、人は誰でも依存をしながら生きています。ただ、その依存先が一つだけだったり、不健康なものに偏っていたりすることが問題なのです。

例えば、母親や彼氏だけしか頼れない人間関係の依存や過剰な買い物、過食、過活動、お酒、自傷行為など、体やお金の犠牲を伴う行動は、不健康な依存先と言えるでしょう。

不健康な依存先の一極集中を克服するためには、「健康的」な依存先を、「数多く」持つことが重要になってきます。その健康的な依存先とは、「心を満たす心地よさ」だと私は考えます。

心を満たす心地よさとは、五感を使って「小さな幸せ」を感じて、心を満たすこと。例えば、綺麗な景色を見る(視覚)、肌触りのいい部屋着に着替える(触覚)、お香を炊く(嗅覚)など、ちょっとした幸福感でいいのです。インスタ映えする趣味や、やりがいのある仕事などに求める必要はありません。これらは過食などの刺激的な依存対象に比べて、じわ〜っと心が温まるようなものです。そのため、初めのうちは物足りなさを感じて過食欲求に負けることもあるでしょう。しかし、これらの小さな幸せを感じる時間を日常生活に多く散りばめ、症状を忘れる時間を長く持つことが、快方に向かいやすくなるコツです。

この心地よさを見つけることができないと、常に刺激を求めるようになり、過食に手が伸びやすくなるんですよね。

どういうことかというと、人は退屈に耐えられなくなると、「なんか楽しいことはないかな」と思います。しかし、楽しいというのは「幸せな気分になるもの」ではなく、「興奮するような刺激」です。

この刺激と感じさせるのは、脳内の神経伝達物質である「ドーパミン」です。このドーパミンは10代〜20代の若者ほど欲しやすく、彼らは快楽を求めて様々な冒険に走り回ります。
しかし、年を重ねるにつれ、行動する前に理性や道徳に従って自制できるようになります。すると、責任ある行為を心がけるようになり、次第に刺激的な行動に快楽を求めなくなります。

代わりに「癒される感覚(エンドルフィン)」を求め、リラックスできる行動や環境を求めるようになります。

もうお分かりかもしれませんが、依存行為はドーパミンを求める行為です。一方、私が今までお話ししてきた「健康的な依存」とは、エンドルフィンを求める行為です。

カウンセリングをしていると、やはり10代の子よりも、30代を越えた方の方が健康的な依存先を見つけやすいです。

一方で、若者はじわっと癒される行為よりも、ドーパミンが分泌される刺激を求めて、ライブや友達とテーマパークに行くことを求めます。でも、それって脳内物質と人の成長の関係から考えると、自然なことのように思います。

そう考えると、若者は癒しをもとめるより、過食をしなくてもいいほど、たくさん「健康的な」刺激をあびることが大切かもしれません。

■生活の癒しを見つけづらい人

また、癒しを見つけづらい人の傾向としては、アダルトチルドレン、教育虐待(過度な教育をされて育った子)に多いです。

アダルトチルドレンの子は常に安心できないので、暇になると「空虚感」を感じます。それを埋めるために、何かに依存しやすい傾向があります。

過度な教育をされて育った子(勉強熱心な子)は、「時間を有意義に過ごさなければ」という意識が強く、癒しや趣味を「無意味な時間」と捉えて生活に取り入れようとしません。だから、治る過程で「生活の心地よさを見つけよう」と伝えても、なかなか見つけられないんですよね。

みんなの健康的な依存先を教えて!

レベル1:寝っ転がってできること

・空を見てぼ〜っとする
・テレビを見る
・ドラマ・映画を見る
・音楽を聴く

レベル2:生活に五感の心地よさをプラスする

・入浴剤
・柔軟剤
・ハーブティー
・肌触りの良い部屋着
・ちょっと高いビールを買う

レベル3:能動的に頭を使う

・本を読む
・部屋の模様替え
・制作活動(手芸、写真撮影、絵を描く)

レベル4:外に出る

・犬の散歩
・ウィンドウショッピング
・美術館

レベル5:旅に出る

・旅行の計画を立てる

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