オルトレキシアとは
「オルトレキシア」とは、健康にいいとされるものしか食べられない「過剰な健康志向」の症状で、新型の摂食障害とも言われています。
例えば、完全なビーガン、完全な植物性食品、完全なグルテンフリー、オイルフリー、精糖や小麦粉、ドレッシングやソースNG、添加物NGを徹底した食事を実践している人。
許可食が野菜、ササミ、豆腐、納豆、プロテインだけ、なんて方もそれに近いように思います。つまり、「一般的に健康と言われる食事しか食べられず、それ以外を食べると罪悪感を感じる人」と言えるでしょう。
オルトレキシアの問題点は3つあり、「精神的ストレス」「栄養の偏り」「人間関係の不調和」を引き起こす点にあります。
オルトレキシアチェック
- 美と健康のために口にしないものがある
- 食材の全成分表示をチェックしないと不安で食べられない
- 気軽に外食に行けない
- 他人の手料理を食べられない
- 健康的な食事をとっていない自分はダメだと思う
- 不健康な食事をとると罪悪感に苛まれる
- おいしい食事を味わう楽しみより、食品に含まれる栄養価が気になる
- 健康的な食事を摂ることで、安心感を得られる
以上、8個の質問の中に4つ以上「Yes」がある場合は、もしかするとオルトレキシアの可能性があるかもしれません。
オルトレキシアになりやすい人の特徴
1、健康志向が強い人
よく「ジャンクフードは食べないほうがいい」と言われていますが、通常であれば、特に健康のことを考えずに食べたいから食べることができます。
しかし、オルトレキシアは「食べない方がいい」 が「食べてはいけない」という強迫観念にかわります。
オルトレキシアはアメリカの精神疾患のマニュアルには載っていないため、摂食障害とは認められていない病気ですが、全米摂食障害協会ではその危険性が述べられています。つまり、それだけこの症状に悩む人が増えてきたということがわかります。
2、アイデンティティ確立に失敗した人
アイデンティティ確立失敗した人、つまり自分の存在価値を感じられない人をさします。
自分自身の存在価値を感じられないため、別のもので自分の存在価値を確認しようとします。
オルトレキシアの方は、健康な食事をとっていることがアイデンティティになってしまい、そこを崩すと自分が保ってられなくなります。
そのため、健康な食事以外のものを食べられなくなってしまったり、不健康なものを摂取することに過剰な不安や恐怖心を抱き、時には嘔吐をしてしまいます。
3、自己肯定感が低い人
自己肯定感が低い方は、「きちんと食事をコントロールしている」ということが、「自分を自己管理できている」という支えになりやすく、自己肯定感を補完しようとしている傾向があります。
さらに生活面にもこだわりが強く、「自分で自分に課したいろいろなルールにとらわれてしまう」傾向があります。健康な食事への関心が病的な強迫観念となり、社会からの孤立や精神的混乱、さらには身体への害を招く可能性が高まります。
健康的なものだけを過食してしまうケース
オルトレキシアは、健康的なものしか食べられない症状ですが、「健康的なものしか食べられない=健康的なものであればいくらでも食べてしまう」という症状に悩む方もいます。
私も実は、オルトレキシアの状態があり、大学2年くらいまではビーガンでした。
また、拒食からの過食期も揚げ物やパンなどは怖くて食べられず、ナッツや玄米、ドライフルーツなど、体にいいものばかり選んで食べていました。
体にいいものであれば「いくらでも食べていい!」って心のどこかで思えたんですよね。だから、ナッツ一袋とか玄米2合とか、欲しくもないのに食べては、お腹が苦しくなったり。きな粉やココア、アーモンドパウダーに砂糖を混ぜて練ったものを食べたり、人様に見せられない食べ方をして15kg増えました。
今思えば、オルトレキシアによって食べられるものを制限していたことによる栄養不足と、食べたいもの(例えばパスタやパン)を食べられないことによる心の飢餓だったのだと思います。
「栄養のあるものばかり食べているのに、栄養不足ってどういうこと?」って思うかもしれませんが、体にいいものを選んでいるつもりでも「ばっかり食べ」をすることで栄養が偏り、飢餓状態から過食欲求がでます。
心の飢餓というのは、体にいいものを選ぶ=頭でご飯を選ぶことで、心が栄養不足になり、それを過食することで心を一時的に満たそうとしてしまう状態をさします。
健康的な食事をしていたはずが、過食を予約している場合もあるのです。
対処法:誰かと食事をしているつもりで食べる
オルトレキシアの方って、人との食事が苦手ではありませんか?
もし、オルトレキシアの症状に苦しんでいて、治したいと思うのであれば、「誰かと一緒に食事をする」機会を増やしてみてください。
(すっごく怖くて、面倒な気持ちもわかるけども)
または、誰かに見られていると思って食事をするのはどうでしょうか。
例えば、定食にするとか、粉だけを食べるのをやめてみるとか。
体に悪いとされる菓子パンなどは、わざわざ食べる必要はないけれど、誰かと食べる前提で食べたいものを選んで食べてみるようにしてみませんか?
食欲とは、「頭で考えるもの」ではなく、「心で感じるもの」です。
食べ物をあれこれと考えて食べるのではなく「食事を楽しむ」ということを一番大切にできるといいですよね。