「え?幸福感も過食の原因になるの?」
って思われる方も多いと思いますが、依存症の引き金を分類する「HALT」という考え方に従って考えると、「Happy」もあるんですよね。
「H(hungry; 空腹感/happy; 幸福感/hurt; 傷ついた)」
「A(angry; 怒り/anxiety; 心配や気がかり)」
「L(lonely; 何もすることがない/孤独感)」
「T(tired; 気疲れ/疲労感)」
そして、みなさんにも聞いてみたところ、案外幸福感から過食をしていることがわかりました。
私も多かったのは、飲み会の後に幸せな気分で家に帰ってきて過食嘔吐。
コンサートの後に高揚感から過食嘔吐などをした経験があります。
幸福感と合わせて、白黒思考も
では、まず幸福感から過食したくなるメカニズムを解説する前に、みなさんの意見を見ていると、「白黒思考」も起因して過食が起こっている場合も多いのではないかと感じています。
例えば「楽しくて食べすぎたと気づいたことが過食につながる」という場合。
これは、単純に楽しくて食事がすすんでしまったんですよね。すごく自然なことだと思います。
ただ、そこで「自分の許容範囲量をオーバーした!」という評価をした結果、「もう、どうでもいい、食べてしまえ」と、過食につながってしまったのでしょう。
つまり、食事の場が楽しくて、ノリで許せる量以上を食べてしまった結果、白黒思考になって「どうせ食べるなら、食べまくろう」という思考になったんですよね。
この場合の過食の対処法としては3ステップで考えると
1、まずは自分の白黒思考に気づくこと。
2、自分の許容できる食事量が厳しくないかチェックする
3、一般的に食べ過ぎ程度の量であれば、「一晩くらいいいいか」と許す
これが一番シンプルだと思います。
きっと、皆さんの食べ過ぎって、定義がとても厳しいと思うんですよね。
案外みんな、食べます。「翌日に調整すればいいか」という気持ちで、その場を楽しめるようになるといいですね。
ちなみに、私はこの考え方で幸福感と白黒思考からの過食を克服しました
幸福感から過食したくなる理由
では、本題に戻ります。
まずは、なぜ人は幸せを感じると過食をしてしまうのでしょうか。
先ほどもお話ししましたが、人は誰でも食事の場が楽しければ、食が進みます。
ただ、摂食障害さんの場合は「必要以上に過食してしまう」ので、それだけが理由ではないですよね。
ここから先は、私の分析なので科学的に合っているかはわかりませんが、それを承知の上で聞いてくださいね。
まず幸福感から過食してしまう理由は2つあるように思います。
1つ目は、抑圧していた本当の欲求が溢れ出すから
2つ目は、ストレス耐性の低さ
原因1:抑圧していた本当の欲求が溢れ出す
よく、お酒を飲むと上機嫌になったり、気が大きくなる方がいますよね。
アルコールを摂取すると、脳内には快楽物質であるドーパミンが分泌されます。
これと同じように、糖分をとるとドーパミンが分泌されます。
そして、アルコールや糖分には気持ちを沈静化させるセロトニンの分泌も促します。
だから幸せな気持ちになっている時、脳内ではドーパミンやセロトニンがわ〜って分泌されているんですよね。
で、この緊張感が解かれ、幸せな状態の時に、普段抑圧された気持ちや欲求を抱えている人ほど、本当の欲求が現れやすくなります。
つまり、リラックスしたことによって、普段我慢していることがあふれでてしまうんですよね。
だから、普段本当に食べたいものを我慢している摂食障害さんは、幸せな気分になると気が大きくなって食べてしまうのかもしれません。
これの対処法としては、「普段から我慢しない」ということです。
普段からその欲求を満たしてあげていれば、抑圧する必要がありませんからね。
原因2:感情コントロールが苦手
いい刺激でも悪い刺激でも、摂食障害さんはそのストレスに対する耐性が低いです。つまり、ストレスに対して心が揺れ動いた時の感情コントロールの仕方が苦手です。
摂食障害さんは感情が揺さぶられ、その感情をしずめるために「食べること」を選択してしまいます。そして、「食べることしか選択肢が思いつかない」という状態が課題なんですよね。
よく感情が乱れる時というと「嫌なことがあった、傷つくことがあった、イライラした」などという感情をイメージする方が多いかもしれませんが、じつは「幸福感」も感情が乱れている状態ですよね。
つまり、「普段とは、慣れない感情」を感じている状態です。
だから、幸せという感覚に慣れていないと、その感情にとまどい、感情をしずめるために過食に向かいやすくなるのだと考えます。
この場合の対処法としては2つあげられます。
1、幸せな感情に慣れていく
2、幸せを感じた後の感情コントロールの方法を増やす
1、幸せな感情に慣れていく
幸せな感情に慣れていないために心が乱されるのであれば、幸せな感情に慣れていきましょう。
私は外食に積極的に出向くようにしました。もちろん、そのあとに過食嘔吐につながることもありましたが、場数を踏むことで「今日は過食嘔吐しなくていいか」と思って眠りにつく日も次第に増えていきました。
2、幸せを感じた後の感情コントロールの方法を増やす
私はよく銭湯に行きましたね。深夜までやっているし、気持ちがスッキリするので。
過食以外で気持ちを切り替えられる方法をいくつか用意しておくと、飲み会の後に「とりあえず風呂に入るか〜」という思考に切り替えられます。
ただ、これは習慣なので、思いついたらとりあえず実行してみること。そうやって数回繰り返していくうちに身についていくはずです。
正直、こうやって文章で書くだけならいくらでも書けますが、実際に行動に移すとなるとみなさんハードルが高く感じるでしょう。
しかし、忘れてはならないのは摂食障害は心の病気であり、生活習慣の病気でもあります。だから、過食に頼らない習慣づくりを練習していく必要があるんですよね。それがこの病気の苦しいところです。
一歩ずつで構いません。まずは1回だけでいいので、なにかしら行動に移せることを応援しています。