「過食克服ってどんな状態?」
という質問をいただきます。
ということで、今回は
①過食克服の基準
②実際の私の克服後の感覚
③克服するために大切な考え方
をお話しします。
過食克服の基準〜過食症が治った状態〜
過食完治の基準は医学的になく、治療者によって考え方は異なります。
ここでは私の考える「過食症が治った状態」を「症状・食事・生活・体型・生き方」の5つの面に分けて紹介します。
【症状】
過食ゼロを継続できること
過食ゼロが数ヶ月続き、多少食べすぎても代償行為をしない
【食事】
頭ではなく、体の感覚にしたがって食事ができること
回復前|空腹や満腹の感覚よりも、頭で考えて「安心できる食事」をする
回復後|体の感覚や、食べたい気持ちにしたがって食事を選び、罪悪感なく消化できる
【生活】
自分の決めたルールによって、生活が縛られなくなること
回復前|マイルールを決め、強迫的にする。それを守れないとイライラ・パニックになる
克服後|マイルールに縛られず、心と体の感覚を尊重しながら社会生活をおくれる
【体型】
ありのままの体重と体型を受け入れられるようになること
回復前|理想の体重・体型が厳しい。理想と自分を比較し、そのギャップに苦しむ
克服後|健康体重になり、生理がある。ありのままの体型を受け入れることができる
【生き方】
感情が比較的安定し、一時的に乱れても症状に頼らず回復できること
回復前|落ち込みやすい、ネガティブ、白黒思考、感情の波が激しい
克服後|柔軟な考えができ、落ち込んでも立ち直りが早い
【克服後のリアルな話】
前ページで紹介した「過食克服の状態」は、リアルさに欠ける印象を持たれた人もいると思うので、私のリアルな感覚も紹介しておきますね。克服者全員が私のような状態ではないと思うので、一人のロールモデルとして参考程度にしてください。
体重
BMIは21前後。学生時代より5kgほど増えましたが、過食嘔吐がひどかった時より5kgほど減りました。私は子どもが3人いますが、産後も産前と同じ体型に戻るのでこれが私のベストという印象。ただ、年を重ねるにつれてベスト体重が増える感覚もあります。
体重が増えたときの気持ち
体重は基本的に測らないので、体型の感覚でしかわかりませんが、1年ぶりに着たスカートが苦しくて「うわぁ〜」と思うことは時々あります。しかし、それによって気持ちが大きく乱れることもなく、通常通りの生活に戻ります。
摂食障害の頃のように「体重が増えたらどうしよう」と、恐怖におびえることはありません。ただ、体重が増えたら「イヤだな」とは思います。ただ、それってよく女の子が「体重増えた!ショック!」と笑いながらネタにするのと同じ感覚なので、自然な感情だと思っています。
過食克服中、一番大切なこと
摂食障害は完治できる病気です。しかし、克服の過程は「どうやったら、病気の特性と付き合いながら、本当に望む行動を優先させていくか」が大切です。つまり、「摂食障害を治す」という意識よりも、「摂食障害の症状あるなし関係なく、症状にとらわれていない自分」に目を向けて、「日常生活を楽しみ、その延長線上で何かに挑戦していく」という考え方でいるほうがうまくいきます。
なぜなら、「自分は摂食障害だ」と思えば思うほど、「正常ではない、普通ではない、みんなと一緒ではない」と、自分を否定することになるからです。
だから、大切なのは「完璧に治そうとしないこと」です。
もちろん目指すところは「完治(症状がゼロになること)」ですが、食に少しこだわりがあっても、生きづらさがあってもいい。それが今の自分です。
あなたに摂食の症状があろうとなかろうと、あなたの価値は変わりません。
そのため、症状ゼロにこだわらず、症状にとらわれていない自分をのばしていく意識で、体型や食事よりも集中できることを増やしていきましょう。
そういう意味では、学校、仕事、人との交流や趣味を充実させていくことが、回復のきっかけになっていくと思います。
※完治したかどうかが気になる方は、症状ゼロが数ヶ月続いた時点で振り返る程度でいいと思います。症状がゼロになれば、ある程度の社会生活が無理なく送れているはずです。完治したかどうかは「あいまいなまま」でも誰も困りませんし、白黒ハッキリ線引きする必要はないと思います。