食べる量を増やすことだけが治療ではない
拒食症の治療中、どうしても声に出して自分を褒めたくなる瞬間というのは
「今日はパンが食べられた」
「パスタ完食できた」
「800kcal食べられた」
という、目の前の食べる量が増えたという成果を感じられた時。
確かに、たった100kcalでも、主食を食べられただけでも、嘔吐しなかっただけでも、それは本人がものすごく努力をして、怖い気持ちを振り切って、食べたことだから褒めたいです。
しかし、摂食障害の治療は「3食食べることを頑張る=治療」ではありません。
もちろん食べることも治療の一環であり、低体重の方はとにかく食べることが治療の一つでもあります。
しかし、それ以上に大切なのは「自分自身の心に向き合うこと」です。
一番の治療は自分の心の向き合うこと
いくら食べられる量が増えてきても、「食べたい・食べたくない」「痩せたい・太りたくない」という感情に向き合っていないのであれば、完治はしません。
いくら食べられるようになっても、心のケアができていなければ、太った姿を受け入れられることができず、また拒食に戻ったり、排出行動に走ってしまう傾向があります。
または、何か問題にぶつかった時に、再び摂食障害の症状が悪化してしまいます。(私は非嘔吐過食から、心の問題に向き合いきれずに過食嘔吐に移行してしまいました。)
まずは簡単な質問からで構いません。
- なぜ痩せを手放せないの?
- 太ることがなぜ怖いの?
- 本当に学校に行きたいの?
など、自分自身に問いかけてみてください。
どうですか?答えが口から出てきましたか?
もし、病気を治したくなるようなポジティブな言葉が出てきたとしても、
やっぱり「太らずに治したい」と思う方もいるかもしれません。
そうなんですよね、低栄養状態や低体重の場合、歪んだ思考になりやすいため、
「克服したいけど、痩せていたい自分」の声をなかなか手放せません。
また、「こうしなければならない」という強迫観念が優位になりやすく、自分のことを客観的に見ることができません。
したがって、もし本気で治したいのであれば、第三者とともに自分の本音を発掘し
克服のための心を育てることをおすすめします。