簡潔に言えば、そりゃやめた方がいいに越したことはありません。
また、「摂食障害を克服する=カロリー計算をしなくても食事ができるようになる」とするならば、
いつかは計算をやめる必要があります。
今回は「カロリー計算の考え方」についてお話しします。
カロリーとは
そもそもカロリーとは、1kcalは、水1Lを1気圧のもとで1℃上昇させるのに必要な熱量と定義されたものです。
大塚製薬のサイトによると、ダイエッターの常識から考えると、意外とカロリーは摂取してもいい印象です。
私は摂食障害の入院中、1600kcalの食事を1ヶ月完食しても、初めは水分で体重は増えましたが、すぐに停滞し体重が増えませんでした。
また、お産時の入院中、1800kcalの病院食を完食しても、体重は増えませんでした。
また、「寝たきりのおばあちゃんも毎日完食しているけど、むしろ体重が減るくらい」と看護婦さんが話してくれました。
つまり、SNSで出回っているダイエット食はかなり制限されたものであり、あれらを「一般的な食事量」と思うのは間違いです。
カロリーはあてにならない
ダイエットの常識として「摂取カロリー<消費カロリー にすると痩せる」というものがあります。
しかし、「カロリー 体重 関係ない」と調べると、カロリー神話をくつがえす情報が出てきます。
参考 https://diamond.jp/articles/-/274306
例えば、1990年から20年間にわたって行われたアメリカの大規模な調査で、「摂取カロリーの増加と体重の増加には相関関係はない」という結論が出ています。イギリスでも、摂取カロリーは減っているのに肥満は増えていたと結論がでています。
カロリーを減らせば、体重が比例して減るわけではありません。もちろん極端に減らせば、ある程度は落ちるでしょう。
しかし、多くの場合「停滞期」がきます。
その理由は、人体自ら、エネルギー消費を調整する機能があるから。
だから一概に「クッキーを食べたら、100kcalエネルギーになる」とは言えないのです。
代謝の高いAさんは痩せるかもしれませんが、
代謝の低いBさんはエネルギーが消費されず、脂肪になる可能性もあるのです。
つまり、カロリーはあくまでも一つの目安にすぎません。
カロリー計算をやめなくてもいい場合
「摂食障害が治ること=体の食欲に従って食べられるようになること」
だとすると、いつかカロリー計算を諦めなけれなりません。
しかし、「カロリー計算をやめなくてもいい場合の人」がいます。
それは、一概には言えないのでカウンセリングでアドバイスするようにしていますが、
例えば「拒食治療中」の方は、カロリー計算を頼ってもいいと考えます。
つまり、カロリー計算をすることによって、安心して食事量を「増やしていける」のであればしてもいいと思います。
最優先事項は「食事を食べること」なので、カロリー計算すれば食事をとれ、増やすことができるのであれば、納得するまで計算して良いと思います。ただ、本来カロリー計算は目安でしかないので、徐々に適当な気持ちで計算できるようになるといいですね。
カロリー計算のやめ方
カロリー計算を一度に全てスパッとやめなくていいと思います。
私のお勧めするハードルの低いやめかた、回復期拒食編を紹介します。
(1)50kcalずつ計算する
例えば、現在1kcalずつ計算しているのだとすれば、 50kcal単位で計算してみましょう。
つまり、 138kcal⇨150kcalで計算 280kcal⇨300kcalで計算 310kcal⇨300kcalで計算 のように、アバウトに計算する癖をつけてみましょう。
すると、厳密に計算していることから解放されることで カロリー計算に対してのこだわりが薄れてくるでしょう。
(2)食事量をアップする
カロリー計算をしながら食事をとることで、安心して食事ができ、体重が増えないと確認できたら
徐々に目標摂取カロリー量までカロリーアップをしていきましょう。
すると、拒食の頃よりも食べる品数が増え、カロリー計算が面倒くさく感じる時がくるでしょう。
その時がやめ時です。思い切って「1日だけ」カロリー計算をやめてみましょう。
(3)夜にまとめてカロリー計算する
食事の度にカロリー計算をせず、夜ご飯が食べ終わった後に1日の総を計算するのも一つの方法です。
いつも大体の量が決まっているなら、大きく逸脱することはなさそうだね。
正解はないから、自分が納得して手放す方法を見つけていきましょう。
克服後カロリー計算との付き合い方
私も10年近くカロリー計算をしていたので、今でも大体見ただけでカロリーがわかってしまいます。
しかし、自動で計算できてしまう頭もありつつ、計算する脳みそと、実際の食行動は切り分けることができています。
つまり「カツ丼はカロリーが高いけど、食べたいから食べる」という感じです。
カロリーがわかってしまうのはむしろ「特技」だから、完全に無くす必要はありません。
「カロリー計算」と「本当に食べたいもの」を切り分けて考えられるようになることを目標に、体の声を聞いて、それを優先できる食事を増やしていくことを応援しています。