みなさんに過食パターンを聞くと、「夜」と答える方が9割以上な印象です。
よくよく過食の引き金を分析すると、夜は過食する理由がそろっているので、無理ないんですよね。
ということで、今日は夜に過食しやすい10の理由と、対処法のヒントを紹介します。
夜に過食する10の理由
① 1日の疲れ(ストレス)が溜まっている
②夜は副交感神経が優位になる
③早く寝ること(休息)に抵抗がある
④空腹
⑤ 1日の頑張ったご褒美として好きなものを食べたい
⑥ 一人で孤独を感じやすい
⑦ 明日の不安を感じやすい
⑧ 自分に向き合う時間によるストレス
⑨ 「夜は食べてはダメ」と思うストレス
⑩ 夜は満腹が許せないから、吐くために過食する(過食嘔吐の症状がある人)
それぞれ簡単に説明しますね。
① 1日の疲れ(ストレス)が溜まっている
いつも言いますが、ストレスが過食の原因です。
1日の中で一番疲れを感じやすい夜は、過食しやすくて当然なんですよね。
②夜は副交感神経が優位になる
自律神経には「副交感神経」と「交感神経」の2種類があり、簡単にいうと副交感神経が優位になる夜はリラックスモード、交感神経優位になると日中は活発モードになります。
食欲の増加に影響しやすいのが副交感神経。 副交感神経はこころやからだがリラックスしている状態で優位にはたらき、副交感神経が優位な状態だと食欲が出やすくなります。つまり、夜は自然と食欲が湧きやすくなるんだよね。
③ 早く寝ること(休息)に抵抗がある
摂食障害さんは頑張り屋の方が多く、休むことに抵抗感上がる方が多いんですよね。
単純にエネルギーが足りなくなれば、食欲が湧きます。特に、体や脳のエネルギー消費が高いのにも関わらず、エネルギー補給または休息をとらずにいると、飢餓状態の反動で過食します。
④ 空腹
③の理由と同様に、エネルギー切れになると単純に食欲が湧きます。
また、空腹になるとイライラするなどのネガティブ感情になりやすく、その気持ちが引き金となり過食しやすくなります。
⑤ 1日の頑張ったご褒美として好きなものを食べたい
食が「楽しい」という感覚が強い場合、達成感が引き金になり、ご褒美感覚で過食するケースもあります。その心の裏には、「あれが終わったら、過食してもいい」「その日、その時間なら、過食しても許せる」という感覚があるように感じます。私自身も、「平日は仕事で頑張っているから、週末は過食してもいい」という気持ちから、週末夜の過食がやめられませんでした。
⑥ 一人で孤独を感じやすい
本来、暇な時間とは自由な時間のことです。しかし、何かに没頭したり、何かを無条件に楽しんだりすることが苦手な傾向がある方は、空白の時間ができると不安になります。
特に、幼少期に親と信頼関係を築けなかったアダルトチルドレンの人は、1人で何も予定のない時間を苦痛に感じます。
その苦痛は、「人と繋がれていない」と感じる「さびしい」という感情(孤独感)であることが多いんだよね。
人は誰でも、人とつながれている感覚を持てると「安心感」を得られます。それは、「ありのままの自分が存在してもいいと、受け入れてもらえている」という感覚です。
一方で、「誰かとつながりがない」と感じると、さびしさを感じます。しかし、物理的に離れていても「自分を受け入れてくれる人はいる」と思えれば、そのさびしさは耐えられます。
しかし、孤独感を感じやすい人は「物理的に離れてしまうと、自分のことを大切に思ってくれる人もいない」と感じてしまいます。
だから、幼少期に親や友人と信頼関係を築けた人は、孤独感を感じづらいです。
また、孤独感からの過食についてはもっとお話ししたいので、どこかで解説しますね。
⑦明日の不安を感じやすい
不確定な未来や、未来に予定していることに対し、気が向かないこと、決断できないこと、未来を思うとトラウマがフラッシュバックする場合、不安な気持ちになります。その不安から逃れるために、過食したくなります。
⑧ 自分に向き合う時間によるストレス
不安と同じように、夜ってどうしても、自分に向き合わざるを得ない時間ですよね。
それが苦痛で、現実逃避のために過食する人は多いです。
ただ、向き合うべき問題は、放置しても解決されず、不安すればするほど、不安が強まるという性質があります。そのため、過食して現実逃避するほど、一時的に不安から逃れることができますが、不安自体は何も解決していないので、さらに不安は強くなります。
⑨ 「夜は食べてはダメ」と思うストレス
みなさんが一番神経を使う食事は「夜」ではないでしょうか。なぜなら、「夜は食べすぎると太る」という情報が、ダイエッターの一般常識になっているからです。しかし、「本当は夜にゆっくり好きなものを食べたい」と思っている人も多いはずです。だから、過食しやすいのです。
つまり、本当は食べたいのに、食べちゃダメだと制限するストレスが引き金になっているんですよね。
⑩ 夜は満腹が許せないから、吐くために過食する
特に過食嘔吐の症状がある人は、満腹感が許せない人が多いです。
そして、夜は太りやすいというダイエット情報から、夜はお腹をぺたんこにして寝たいという人が多いんですよね。
だから、「どうせ吐くから、たくさん食べておこう」として、嘔吐前提の過食をしやすい傾向があります。
夜の過食を止めるヒント
【対処法1】夜の食事を我慢しない
先ほどもお話ししましたが、エネルギー切れになり、疲れやストレスを溜めている夜こそ、本能的には「夜ご飯を食べたい」と思っている人がほどんどです。それなのに、「夜は食べたら太る」という考え方が強いと、その「食べたいVS我慢するべき」の葛藤がストレスになり、過食に向かってしまうのです。
そのため、対処法としては、夜ご飯を特別視せず、食事制限しないことを許していきましょう。
【対処法2】夜、空腹になるデメリットを知ろう
夜に食べたいと思っても、食事量を増やすことに抵抗がある方は、「就寝時の空腹のデメリット」を知りましょう。
【就寝時の空腹のデメリット】
①筋肉量の減少
睡眠中に分泌される成長ホルモンには脂肪の分解を促進する働きがあります。また、睡眠中は体温が下がるため、エネルギー消費が促進されます。一方、空腹の状態で寝てしまうと、代謝に必要なエネルギーが足りなくなり、筋肉を分解してエネルギーを補完しようとします。
②睡眠の質の低下
睡眠の質が悪いと、ホルモンバランスが乱れ、集中力や記憶力の低下、感情の乱れ、肥満のリスクが高まります。
③早朝の過食につながる
空腹時間が長いと人は飢餓状態になり、過食欲求がわきやすくなります。人によっては真夜中や早朝に過食してしまいます。また、飢餓状態から食事をすると血糖値が急上昇し太りやすくなります。
【対処法3】自分がダメだと思っている過ごし方をしてみる
夜、もし過食をしないで過ごすとしたら、どんなふうに過ごしてみたいですか?
みなさんからは「勉強」「読書」「筋トレ」という回答が返ってきそうですが、本当に心からやりたいと思っていますか? 本当にやりたいことであれば、過食せずにやっているはずです。
(厳しいことを言ってすみません!)
つまり、あなたのイメージしたやりたいことは、
「やるべき」「やらなければダメ」「やったほうがいい」と思っていることではありませんか?
「有意義に過ごしたい」という気持ちから、イメージしたことではありませんか?
「やらなければいけないこと」は、本音では気持ちが乗らないので、やらなければならないことから逃げるように、過食に向かいやすくなります。
そのため、過食回避のためには「自分がダメだと思っている過ごし方」をやってみましょう。
例えば、「布団に転がって、ごろごろする」「推しの動画を見る」「ソファーでスマホをいじる」という、なんとなく「怠けている」と思っていることを、本当は望んでいませんか?
夜は1日の疲れが出やすく、また副交感神経が優位になり、リラックスして休みたくなるのは自然なことです。
ぜひ、過食ややるべきこと以外の「やりたいことリスト」を書き出してみましょう。
ヒントは「ダメだと思っている過ごし方」や「五感が満たされる過ごし方」です。
その中から、その日の夜の気分に合わせて選んでみましょう。夜の過食習慣がついている方は、どうしても過食欲求に引っ張られると思いますが、そこを10分耐えて新しい行動をしてみましょう。
※もし自分がダメだと思っている過ごし方に抵抗感がある場合は、「頑張らなければならない/休んではダメ」など、休むことを許せない心をケアすることが必要です。
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