過食克服が難しい5つの理由

過食を治したいと思っても衝動に負ける…

という経験に苦しんでいませんか?

 

私も「明日から過食を止めるために、今日で食べ納しよう!」

としては、翌日にやっぱり過食スイッチが入る….という生活を繰り返しました。

 

正直、過食の克服は難しいです。

 

私のカウンセリングを受けている方の多くも、症状が改善されるまでに3ヶ月以上かかることが普通です。

 

では、なぜ回復に時間がかかるのでしょうか。

 

その理由は、5つあると感じています。

 

 

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過食克服が難しい5つの理由

摂食障害の回復に時間がかかる理由

① 特効薬がない

② 専門医が少ない

③ 心の回復には時間がかかる

④ 周囲の理解・サポートを得ることが難しい

⑤ 習慣を変えることが難しい

  

その中でも、「習慣を変えること」が、回復のキーポイントになります。

なぜなら、習慣は意思の力では変えづらいからです

 

脳科学的にも、「強い意思」や「自制心」では変えられないという研究結果があります。

 

それにもかかわらず、過食症になった人は「習慣を変えられないのは、自分の意思が弱いからだ」と思い込みます。

それは、かつて厳しいダイエットをした際に、マイルール(過剰な運動、糖質制限など)を心がけ、いっとき習慣化できた成功体験があるからではないでしょうか。

 

しかし、その成功体験は成功ではありません。

ダイエットは成功したかもしれませんが、心と体を害してまで痩せることは成功ではありませんよね。

 

痩せるためのマイルールが、適度で、ストレスの少ない形であれば摂食障害にならなかったかもしれません。

しかし、極端に痩せる努力をした人は、バランスを崩し、拒食症になるだけでなく、その反動で過食症状が現れます。つまり、痩せるためのマイルールはあなたに合っていなかった可能性が高いです

 

それにもかかわらず、極端なマイルールをやめられず、拒食と過食をくり返す悪循環が定着し、過食を引き起こす習慣が体に染みついてしまいました。

だから、過食を治すためには「過食を引き起こす習慣」を変えていくことが必要です。

 

しかし、習慣は「変えたくても変えられない特性がある」とお話ししましたよね。

人の習性が「過食をやめたくてもやめられない」という状態をつくります。

 

だからこそ、習慣を変えることが難しい理由を理解し、人の習性に対応した克服方法を考える必要があります

 

また、これらを理解することで、「過食が治らないことにあせってしまう」「治らない自分を責めてしまう」という状況に陥らずにすみ、過食克服の挫折を防ぐことができます。

 

  

過食克服を妨げている人の習性

① 過食は依存症と同じような状態

② 本能的に、現状維持を好む

③ 未来のご褒美より、今のご褒美に価値を感じる

④ ダメと思うほど、逆のことをしたくなる

⑤ 習慣を変えるには時間がかかる

 

 

 

 

・理由1:過食は依存症と同じような状態

過食の人は意思では「過食をやめたい」と思っているのに、「体が勝手に過食を求めてしまう」という状態に苦しんでいます。

その状態は、依存症として過食を考えると理解しやすいです。

 

依存症とは、コントロールできない悪い習慣です。

 

  

依存症は、脳内の神経伝達物質である「ドーパミン」と大きく関係しています。「多量の食べ物」を摂取すると、脳内にドーパミンという物質が分泌され、中枢神経が興奮して「快感・喜び」を感じます。

 

しかし、過食を繰り返し続けると、次第に「快感」を感じにくくなります。そのため、以前と同じ快感を得ようとして、過食の量や頻度が増えていきます。過食を増やせば一時的には「快感」を感じられますが、さらに快感を求めて量や頻度が増えます。

 

こうした悪循環に陥ると、脳が「刺激」を求めてエスカレートし、意思でコントロールすることは非常に困難となります。だから、過食をやめると強く決意しても、脳がやめさせてくれないのです。

 

・理由2:本能的に、現状維持を好む(現状維持バイアス)

人は、本能的に現状維持を好む生き物です。つまり、変化を嫌います。

変えることが自分にとっていい未来をもたらすとわかっていても、「変える=失う」と感じてしまいます。つまり、何かを変えることで得られる利益より、失うことの可能性を大きいと感じ、変化を避けようとする習性があります。

 

特に、体調不良の時や、何かに心をとらわれている時ほど変化を嫌います。なぜなら、変化するためにはものすごくエネルギーが必要だからです。

摂食障害は心の病と言われるだけあり、基本的にはみなさん心のエネルギーがない状態です。そのため、過食を治したいと思っても、なかなか行動変化を起こせるほどのエネルギーがないことが、やめたくてもやめられない状態をつくります。

 

 

・理由3:未来のご褒美より、今の快楽を選ぶ(現在志向バイアス)

過食をやめなければヤバいとわかっているのに、今この瞬間の快楽が欲しくて食べてしまう」という感覚に、身に覚えがありませんか。

実はこれ、人の習性としては自然なことです。

人は、「今」に価値を感じる習性があり、「待つこと」でより大きな利益を得るとわかっていても、その行動を選ぶことが苦手です。特に、依存症の人ほど「遠くのご褒美より、近くのご褒美」を選びます。

つまり、治療のためには我慢しなければならないとわかっているのに、衝動的にアルコールやギャンブル、そして過食に手を出してしまうのです

 

 

・理由4:ダメと思うほど、逆のことをしたくなる(リアクタンス)

「過食はダメ」と思うほど、過食してしまった経験はありませんか?

人は、強制されたり押し付けられたりすると、逆のことをしたくなる習性があります。これをリアクタンスと言います。

だから、「運動しなきゃ」と思うほどやる気がなくなり、「糖質はダメ」と思うほど食べたくなるのです。

 

 

・理由5:習慣を変えるには時間がかかる

そもそも習慣は簡単には身につきません。みなさんも今の習慣の多くは、「数ヶ月かけてじわじわ身についてしまったもの」ではないでしょうか。

習慣化するためには、何度も同じ行動を繰り返すことで、その行動を無意識に取れるようになります。だから、習慣を変えるためには、時間が必要です。

習慣を変えるには、平均的に2ヶ月はかかると言われていますが、人によっては3週間で変わる人もいますし、1年以上かかる場合もあります。つまり、人によってばらつきが出るものです。

 

まとめ

では、過食は意思で治らないならどうすればいいのか?

という疑問が湧き上がると思います。

 

私の考えとしては、「過食につながらない環境を整備する」ことが大切だと考えます。

 

人間の行動は90%以上が無意識に行われていると言われています。

そして、人の行動は意思の力よりも、周りの環境に影響をうけると言われています。

 

このことから、習慣を変えるために大切なのは「過食しない環境づくり」です。

 

ぜひ、「自分が心地よく生きられる環境」を分析し、少しずつ整えていきましょう。

 

 

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