URL:https://youtu.be/71ULVzLZAqI (1h19min〜)
その中で
摂食障害は
・才能
・原因はダイエット
・誰でもダイエットすればなる
などの発言があり、う〜んって思ってしまいました。
話を聞く限り、相談者さんは緊張して話がうまくできなかった様子でしたし、悪意は全く感じないので、単に「いろんな情報を解釈しきれずに、自分の考えに落とし込んでしまった」印象です。
これって、さまざまな情報が出回るこの世の中で、誰にでも起こりうることだなと思います。
とはいえ、185万人も登録者がいるコレコレさんのチャンネルで、この間違った情報が流れることはとても怖いことだと思います。
(コレコレさんはこの発言を支持していたわけではないので、みなさんそれほど信じないとは思いますが、、)
ということで、このチャンネルの発言を受けて「この発言はちょっとな・・・」という点を3つにまとめて私なりに解説したいと思います。
×摂食障害は才能
「摂食障害は才能です」と話されていた言葉がすごく印象的でした。
しかし、摂食障害は心の病であり、特異な才能によって引き起こされるわけではありません。
おそらく、「摂食障害は完璧主義、努力家、頑張り屋な一面があるから、そういう面を健康的に発揮すれば努力の結果、才能に変わって素晴らしい成果に現れる」というようなことを言いたかったのだと思います。そして、この考え方なら私も頷けます。
しかし、言葉足らずで単に「摂食障害は才能です」と言い切ってしまうと、「摂食障害はとても素晴らしい特性」という印象をうけてしまいますよね。
確かに、摂食障害の方は、私のカウンセリングに来る方100パーセントとっても良い人で、努力家で、完璧主義です。本当に全員と言って良いほど、みんな頑張り屋さんです。だから、誰にも到達できない低体重を達成できてしまいます。
でも、実はこの「完璧主義」や「0か100かの白黒思考」は認知の歪みです。
つまり、「認知=考え方の癖」の病気であり、極端な考え方の癖によって摂食障害の症状が引き起こされています。
どんな人にも考え方の癖があり、癖があることは悪いことではありません。しかし、摂食障害の方は完璧主義や頑張り屋の程度が行き過ぎているんですよね。だから
- 失敗が怖い
- 理想が高く、妥協できない
- 自意識過剰で、他人の評価が気になる
などの副作用で生きづらさを感じることが多いです。
確かに、完璧主義を良いふうに伸ばせば才能に変わることもありますが、摂食障害の方はまずは「自分の認知の歪みに気づき、それを適正なラインに戻す」という作業が第一にやることだと感じます。
×原因はダイエット
ダイエットが原因が多いと話されていましたが、そもそも心の病気を考える上で、原因ときっかけは別という考え方をするべきです。
もちろんダイエットが引き金になって摂食障害になる方が大半ですが、原因は幼少期からの積み重ねにあります。つまり、考え方の癖や自己肯定感、家庭環境などが原因です。そして、生活環境の不運が引き金になり、発病するものです。
だからきかっけはダイエット以外でも、怪我、部活の引退、失恋、風邪、過労、死別などもあります。
したがって、克服するためには「きかっけ」ではなく「原因」を分析し、第三者と自己理解を深めることが大切です。
そういう意味では摂食障害を引き起こす「引き金」になるダイエットをやめようという発言は支持できますが、摂食障害になる原因は別にあるという考え方が適切です。
そういう意味で、「ダイエットの延長だから、摂食障害になったのは自分の責任」と自分を責めないでほしいですね。
×誰でもダイエットすれば摂食障害になる
「原因はダイエット」と考えていると、「行きすぎたダイエットをすれば、誰でも摂食障害になれる」という考え方になってしまって当たり前だと思います。だから、「短期間で諦めずにダイエットすれば摂食障害になれる」という発言をしてしまったのだと思います。
ただ、先ほども説明しましたが、きっかけと原因は別です。
原因をざっくりいうと、摂食障害になる方は、世間の「正・良・期待」を優先するあまり、自分の本音に気づけなくなった結果発症します。つまり、自分の本音に従って、人生の舵をきっている感覚がない人がなりやすいです。
もっと言えば、幼少期のトラウマや家庭、教育環境の不運による自己肯定感の低さやアイデンティティ確立失敗した場合、また過度な緊張感に置かれる環境での生活を強いられたり、自分を満たす方法が食べること以外にないと摂食障害になりやすいです。
摂食障害は「痩せたい病気」であり、「不安」の表れです。「痩せていることに安心」することで不安から目を背けている状態と言えます。その「痩せの裏にある不安」を解消することが根本的な回復につながります。
◯甘え・贅沢病ではない
最後に、この相談者さんは何度も「摂食障害は甘えだと思われてるんですが、甘えではないということを伝えたいんです」と話しているのが印象的でした。
しかし、「摂食障害は甘えだ」という人は少数派です。摂食障害や心の病気に馴染みのない昭和の親御さんなどはそう発言する方もいると思いますが、私の知る限り10〜30代の方で「心の病気=甘え」と考えている人に出会ったことがありません。
だから、自分自身で「摂食障害は甘えだ」と思い込まないでください。世の中の多くの人はそうは思っていません。
はい、ということで私の考えをざっと書かせていただきました。
おそらく、相談する場所が悪かったと思います。自分の考えは自分のSNSに書くようにしたり、摂食障害について相談したいなら医者やカウンセラーなどの専門家の元で自分の考えをいう方が、相談者さんも傷つく可能性が低くなるだろうし、意味ある時間になると思います。