治療で目指すのはその前段階である
「過食欲求が沸き起こらなくなること」が正解です。
なぜなら、過食欲求が沸き起こらないように、
問題解決の考え方や、ストレス対処法を身につけていくことが
根本的な克服につながるからです。
しかし、欲求を我慢することにも意味があります。
それは、「時間」の観点から見ると、とても重要な意味を持ちます。
今日は「過食を我慢する意味」について解説します。
過食を我慢していい人、ダメな人
まず、過食は基本的には症状です。
つまり、風邪でいうところの「咳」のようなもので、我慢することが根本解決にはつながりません。
また、意志でコントロールできるものではありません。
しかし、過食の原因は大きく分けて2つあります。
それは、生理的な欲求と心理的な欲求です。
そして、生理的な欲求の方は、基本的には食欲は我慢しなくていいと私は考えます。
生理的欲求がおこりやすい人
・生理が回復していない人
・食事を我慢した人(カロリー・マイルール)
・代償行為(過活動・嘔吐・チューイング)をした人
いつも言いますが、過食は「我慢の反動」でおこるものです。
つまり、過食の前には必ず「食事制限」や「エネルギー消費」があります。
低体重の方は、体の自然治癒力によって、生理的に食欲が増しますし、
過度な食事制限した人も体の防衛反応から食欲が増します。
これは自然なことなので、過食は我慢せず、欲求に従ってあげたほうが、結果的に過食を早く回復させられます。
一方、心理的な過食欲求が起こりやすい人は我慢することもひとつの治療につながります。
心理的な過食欲求が起こりやすい人は、生理が回復して、食事も2000〜3000kcal許可食なく食べているにもかかわらず、過食したい人です。つまり、ストレスがかかると、食事で発散しようとする傾向のある人をさします。
また、これからお話しする「過食を我慢する意味」に該当する人は、「過食嘔吐持ち」の人です。
過食嘔吐は意志でコントロールしづらいものです。
でも、治そうと思うのであれば、その過食欲求の引き金がひかれたときに、過食を我慢することが回復につながることも多いです。
過食を我慢する意味
過食を我慢する意味は、時間にあります。
過食欲求を回避することで、他のことに興味をめぐらす時間をつくることができるという意味で、我慢することは大切なのです。
そう考えると、「過食を我慢する」という考え方より、「過食以外で心を満たす」という視点で、興味を広げる時間をつくることが重要だと私は考えます。
例えば、何かストレスがかかって過食したくなったのであれば、過食以外で自分を癒してあげる。そして、心のエネルギーがたまった後にきちんとストレスになった問題に向き合ってみる。
暇になって過食したくなったのであれば、過食以外で自分を満たしてあげる。
そういう意識が、回復には大切になります。
ただ、摂食障害の多くの方は「エネルギー不足からの反動」で過食欲求が湧きます。
まずは食事で体と心を満たすことが、過食を我慢することよりも先に行ったほうがいい成果がでるケースが多いと感じています。