摂食障害を隠して、過剰適応するデメリット

摂食障害が回復しない理由のひとつに

当事者本人が

「摂食障害を隠そうとすること」

にあると感じています。

 

いや、わかります。

私もずっと隠してきましたから。

 

ただ、その背景には

「摂食障害を知られることが恥ずかしい」

という気持ちがあるでしょう。

 

そして、この「恥ずかしい」と思う気持ちが
摂食障害回復を遅らせるとも感じています。

では、今日は「恥ずかしい」と思うことによって
どのようなデメリットがあるかを考えてみました。

 

 

摂食障害を隠すことのデメリット

私は拒食の頃、少ししか食べないことに恥ずかしさを感じていました。

 

しかし、それ以上に

標準体重になり、過食嘔吐になってから
「恥ずかしい」と強く思うようになり
自己肯定感がものすごく下がりました。

 

では、恥ずかしいと思うことによるデメリットをあげてみましょう。

 

①普通の人として振る舞おうとする

②摂食障害とバレないように、人との食事に緊張する

③隠しているだけなのに、「嘘をついている」と罪悪感を感じる

④本当の自分は理解されていないと思う

⑤誰にも本当の自分を見さられず、孤独を感じる

 

隠すことによる最大の弊害「過剰適応」

この中で、最大のデメリットは

普通の人として振る舞おうとする

ことにあると思います。

 

というのも、摂食障害さんは自己肯定感が低い上に理想が高いので
「普通の人として振る舞おう」にとどまらず
「自分はダメだから、人並み以上に頑張らなければならない」
と思って、人並み以上に頑張ってしまいます。

 

もともと、摂食障害になる方というのは
病気になるほどダイエットができてしまうくらい
無理して頑張るタイプですよね。

だからこそ、
周りからも「真面目・責任感が強い・できる人」

というイメージを持たれることもあると思います。

また、そんなイメージがあるので
周りの人から期待されやすく
それに応えるためについつい自己犠牲的につくしちゃうよね。

 

こういう傾向のことを、過剰適応と言います。

 

過剰適応とは、周囲の期待や状況に過度に合わせようとすることで、自分の本当の気持ちや考えを押し殺してしまう状態を指します。

 

過剰適応にはデメリットが大きいと言われています。

【過剰適応のデメリット3つ】

①ストレスが蓄積と自己肯定感低下
自分の気持ちを抑え込み、自分の意見や価値観を表現できないと、ストレスが溜まるだけでなく、自己肯定感が低下してしまうことがあります。

②深い人間関係が築きにくい
自分の本音を隠しているため、深い人間関係を築くことが難しくなります。

③やりたいことがわからないor自己実現できない
自分のやりたいことや本当に望んでいることがわからなくなったり、あったとしてもまわりの期待を優先させてしまうため、夢を諦め、自分の人生を生きることが難しくなります。

 

【過剰適応のメリット3つ】

ただ、過剰適応が悪いわけではありません。
過剰適応によってメリットもあります。

①周囲から好かれやすい
周囲の期待に沿う行動をとれば、もちろん好印象ですよね

②トラブルを避けやすい:
自分の意見を控えめにすることで衝突がないため、比較的穏やかな人間関係を保てます。

③高い成果を残せる
過剰適応の人は周囲に期待されやすく、高い目標を目指さなければならないことも多いでしょう。よく言えば、チャンスに恵まれています。

そして、その期待に応えて身を削るほどの努力ができるため、学業や仕事で成果を出している方も多いです。ただ、その裏では気持ちは疲弊してたりするんですよね。

 

例えば、

□周囲から期待され、学級委員として活躍
(しかし、プレッシャーで常に重苦しく感じる)

□過酷な労働環境でも成果を出す
(しかし、いつも気持ちが張りつめている)

□管理職に抜擢される
(しかし、慢性的に疲れ、心身ともに限界)

 

 実は、成果を出している裏では、ものすごく苦しんでいる人って多いんですよね。

 

過剰適応になりやすい背景

過剰適応な子って、いわゆる「いい子」です。

そして、摂食障害さんはほぼ全員が「いい子」です。反抗期がなく、親だけでなく先生や上司に好かれやすい印象があります。

でも、みんな自ら望んでいい子に育ったわけではなく、「そうせざるを得ない」環境で育ってきた過去があるんですよね。

例えば、ご両親の喧嘩や、お母様の疲労感やイライラを感じると、子どもは「両親の雰囲気を良くするためにふるまう」「お母さんに心配をかけないように、本音を言わずに嘘をつく」などの習慣が身につきます。このように、子どもは常に家庭内の緊張を高めないよう、家族の機嫌をうかがいながら過ごしてきたのです。

その結果、自分の気持ちを尊重できず、他者の目を気にしながら生きるようになります。このように、自発性が育たないまま成長すると、心は子どものまま大人になり、アダルトチルドレンにつながります。

 そして、「いい子」が行き過ぎると、「過剰適応」に苦しむ可能性が高くなるんですよね。

 

過剰適応が強くて回復する人、しない人

最後に、過剰適応が、摂食障害を遅らせることもあれば、回復の後押しになることもあるという話をします。

摂食障害の回復を遅らせる場合

過剰適応できる人は、一見社会的に見れば「優秀」「成功者」「バリキャリ」などの印象を持たれ、本人もそのようなイメージを維持しようと努めます。

だから、「イメージを崩したくない」と思って、悩みを誰にも言えず、摂食障害の症状があっても隠そうとします。

特に社会人の方に多いのが、仕事では成果を上げる一方で、帰宅後は毎晩過食嘔吐を繰り返し、誰にも頼れないまま症状が進行するケースです。

 

私もこれで、過剰適応が強くて、私は過食が悪化しました。

それなりに学校や会社で結果を残したり
人とのつながりもそれなりにあると
「過食をしていても、社会生活ができているから無理に克服を頑張らなくてもいいか」と思って、積極的に直そうとしませんでした。

 

摂食障害回復の助けになる場合

ただ、最後は過剰適応によって、摂食障害がいらない自分になったな〜とも感じます。

①スキルが自信になった
めっちゃ仕事を頑張ることで、スキルがついたことを実感して、そこに自信を持てるようになりました。

②過食嘔吐が邪魔になった
めっちゃ仕事に夢中になることによって、仕事でもっと高い成果を出したいと思い、コンディションを整えたい一心で、過食嘔吐が邪魔になりました。

③信頼されていることを信じて、自己開示できた
人の期待に応えることで信頼され、深い話ができるようになり、自分の病気の話もカミングアウトできた。カミングアウトしても、その信頼関係は崩れなかったことで、孤独感から解放された。

過剰適応も、タイミングや環境によっては、摂食障害の回復にも役立つから、絶対ダメなこととも言えないな〜と実感しています。

摂食障害を隠しながらも、回復するために

今日お伝えしたいのは

・摂食障害を隠すことをダメと思わなくていい

・まわりの期待に応えるために努力することはダメだと思わなくてもいい

だって、どちらもメリットデメリットがありますからね。

ただ、一番大切なのは

自分のケアを優先させる

ということです。

 

周りの環境に過剰適応しすぎると、自分の本音や体調を労われず、ストレスを抱え込みます。

だからこそ、人並み以上に

「周りの期待<自分のケア」を優先してください。

 

人より頑張っているのであれば、人よりも自分のことを労ってあげてください。

 

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