「過食する自分を受け入れる=過食を許す」は治らない?過食と自己受容

以前、カウンセリングの目的である

「心のケア」とは、「自己理解と自己受容」

つまり

「ありのままの自分を丸ごと受け入れること」

だとお話ししました。

 

それを見ていたクライアントさんから

「過食する自分を許して、また過食してしまう」

「自分を許したら甘えになるからダメな気がする」

という声をいただきました。

 

確かに!そうですよね。

私も過食の自己受容に関して大切なことを言い忘れていたので、

今回は過食と自己受容についてお話しします。

 

自己受容とは

前にもお話ししましたが、大切なことなのでもう一度お話ししますね!

 

まず、自己受容とは

ありのままの自分を受け入れること」であり、

 

自分の気持ちや考え方に気づき、

その状態を「いい・悪い」で判断しないことです。

 

 

つまり、自分を受け入れるとは、どんな自分でも、許すことです。

自分を許すとは、自分への評価をやめることです。

これがありのままの自分を受け入れるということです。

 

評価は、あなたの価値観でしかありません。

大切なのは、「無条件の自己受容」です。どんなに失敗しても、短所ばかりが目に入っても、あなた自身の価値は変わりません。

過食に対する自己受容とは

例えば、過食に自己受容を応用すると….

「また過食してしまった。そんな自分はキライ。でも、過食した自分も許してあげよう」というように、「事実/感情/評価」を分けて、自分を丸ごと受け入れてみましょう。

きっと、みなさんは過食をする自分を「ダメ」と評価し、自分のことを責めがちだと思います。もちろん、過食する自分を好きとは思えませんよね。過食する自分も、太ってしまう自分もイヤですよね。イヤでいいです。なぜなら、「イヤ」というのは自然とわきおこる感情だから。大切なのは、「イヤだ」という感情に気づいても、その状態を「いいor悪い」と評価しないことです。

 

このように解説したところ、クライアントさんからは

「ダメな自分を許してあげる」とそれに甘えてしまっていつまでたっても自分は変われない、変われないのではないか…って思ってしまいます。過食をしてしまう自分を「許して」しまうとまた次も過食してしまうのでは…って思って、うまく「許して」あげられません。ダメだししたからって結果がよくなるわけではないことは分かっているけれどそれを「許す」に変えることは怠惰、甘えにはなりませんか?治らなくていいや~って思ってることになりませんか?

 

おそらく、過食で悩んでいる人は同じように感じると思います。

これに対して、私の答えとしては、

前提として、過食嘔吐をポジティブに許していたら治らないです。

だから、「過食嘔吐をしたい自分を許す」というのは、私も違うと思っていて。

 

そう考えると、自己受容の考え方は、

過食嘔吐をする前ではなく、

過食嘔吐をしてしまった場合の後につかえる考え方ですね。

 

つまり、

過食の前は「過食しない前提で生活する」ことが大切であるけど、

それでも過食してしまった場合は

「過食した自分を責めずに、許してあげること」

が大切ということです。

 

そんなお話をクライアントさんにもしたのですが、そしたらオリンピック選手に例えて説明してくださったのが分かりやすかったので皆さんにもシェアします。

 

「負けていい」って思ってるオリンピック選手はいないですよね。でも、もし負けてしまった場合、「負けた自分」をポジティブに「許す」ことで、次は負けないために前進する努力をし始める…という感じでしょうか

 

そうですよね、

 

初めから「負けていい=過食していい」という気持ちではなく、

負けてしまっても(過食してしまっても)、そんな自分を許すことで

次の目標を立てやすくなりますよね。

 

「過食してもいい」と思う限り、過食は治らない

私の過食経験を振り返って思うのは、

過食を許す考え方にも、

過食の重症度によって変わってくるということ。

 

例えば、私が過食を毎日1日4回していた頃は

「1日1回過食することは許そう」

 

毎日1回の過食まで減った頃は

「たまには過食してもいい」

 

週末だけ過食していた頃は

「週末くらい許そう」

くらいのマインドで過ごしていました。

 

結果的に、そのくらいの緩さでいたほうが

メンタルも追い込まれず、自己肯定感も下がらず

結果的に過食が減っていきました。

 

ただ、常に「過食を治したい、無くしていきたい」

という気持ちがあったからこそ

減って行ったのだと思います。

 

ただ、「たまに過食してもいい」と思っているうちは治りませんでした。

だから、大学生4年間、社会人2年間は

それなりに普通に生活できていたけれど、

過食嘔吐だけはダラダラ残りました。

 

 

 

でも、社会人2年目の時に

「さすがにやめたい、いいかげんやめよう」

と決心した時は

「過食前提で過ごさない」

「食べすぎて胃キャパ超えても吐かない」

と決めて、一定期間過ごしました。

 

つまり、過食嘔吐を一切許さないマインドでいたからこそ

過食しても吐かない選択を取り続けることができました。

 

ただ、それでもたまに過食嘔吐することがあるんですよね。

 

そういう時こそ、この

「過食した自分も許す」

という考え方が、効果を発揮したんですよね。

 

だから、過食嘔吐後に

「どうせ私は治らない」

「結局ぶり返すじゃん」

「嘔吐する自分は甘いな」

と、自分を責めることがなく、冷静に

 

「もう、終わったことは仕方ない」

「これが今の自分」

「過食したくなる程疲れていたのかな」

「なんで過食しちゃったかな」

「次はどうしたら回避できるかな」

 

と、過食嘔吐した自分を受け入れることで

自分への労りの気持ちや

次回の予防策などを考えることができました。

 

 

私の経験から言えるのは

過食する前から

「たまに過食してもいいや」

と過食を許す考え方で過ごしている限り、過食はゼロにならないということ。

 

でも、「過食前提で過ごすことをやめよう」と決めて

結果的に過食嘔吐をしてしまった場合だけ

過食を許してあげることが、

過食ゼロの秘訣なのかな〜と思います。

 

 

 

あくまでも私の経験から言えることなので

すべての人に当てはまるわけではないと思いますが、

クライアントさんを見ていても、その傾向はあるな〜と思います。

 

今、過食に悩まれている方の参考になれば幸いです。

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