カウンセラーは、何を考えながらカウンセリングをしている?

皆さんは

カウンセラーはどんなことを考えながら

カウンセリングをしているのだろう?

と思ったことはありませんか?

 

私は、自分が摂食障害だった頃、

先生は何を考えているんだろう?

と気になっていました。

 

今回は、私がカウンセリングにおいて

いつも考えていることをお話しします。

 

事前準備

まず、カウンセリング前は

私もそれなりに緊張します。

だからこそ、事前準備を大切にしています。

 

私は初回カウンセリングの前に

クライアントには事前ヒアリングシートを書いてもらいます。

 

その内容は、

・摂食障害のきっかけから症状の移り変わり

・毎日の食事内容

・毎日のスケジュール

など、割と細かい内容です。

 

その内容を読むと、7割くらい症状の傾向と課題が見えてきます。

そこで、私は課題と質問事項を考えます。

 

例えば、

1日のスケジュールが10分単位で決まっている人

→まずは習慣のマイルールを緩めることが課題だな〜

 

食事のメニューがヘルシーより

→本当に食べたいものを食べる練習が必要だな〜

 

家族関係や人間関係の悩みが多い

→過去のトラウマケアが必要だな〜

 

などを考えます。

 

カウンセリング時

今まで1000人以上とお話ししてきましたが

私は、ほぼ全員に共通していえる3つの特徴は

①繊細で心の傷を抱えている

自分の気持ちがよくわからない

③共感や傾聴より、具体的なアドバイスを求めている

という点です。

 

親御さんの場合は、賢くて頭の回転が速い人が多いな〜という印象。

摂食障害さんはほぼ例外なく努力家なので、

親も努力家であることが多いんですよね。

 

①繊細で、心の傷を抱えている

 

摂食障害の根っこには、必ず心の傷があります。

そして、その心の傷や生まれながらの繊細さのために

非常に傷つきやすいです。

 

だから、私も一つ一つの言葉を選ばなければ

相手を傷つけてしまう…という前提でお話ししています。

 

だから、非常に緊張するんですよね。

 

 

自分の気持ちがよくわからない

 

カウンセリングは、自己理解と自己受容の場ですから

自分の気持ちがよくわからないままでは

自分のことを受け入れていくことができず

回復に向かわないんですよね。

 

だから私はとにかく気持ちを掘り起こし、整理する作業を一緒にします。

 

 

病気の声が大きくて

「健康になりたい声」があるにもかかわらず

一人ではその声に気付けなくなっている人も多いです。

 

「好きなものを食べたいけど、太りたくない」

「旅行に行きたいけど、マイルールを変えるのが怖い」

「過食嘔吐をやめたいけど、吐ける手段を手放したくない」

 

このように、相反する気持ちが入り乱れるぎて

「自分の気持ちがよくわからない」

となっている人がほとんどです。

 

 

そこでよくやるのは、生い立ちから語り直すことです。

なぜなら、摂食障害の根っこは家族関係にあることも多く

小さい頃の話をすると、心の傷を負った経験が出てくることが多いです。

 

「自分の意見を言いづらかった」

「自分のやりたいことを否定された」

「両親が仲悪くて、いつも顔色を窺うかがって、空気を読んでいた」

とかね。

 

そこから、今の自分の考え方の癖などを整理して

痩せていたい理由や

太ることが怖い理由なども

言語化していきます。

 

 

「食べたくない」

「痩せていたい」

などの病気の声以外の自分の本音が見えてくると、

自分への理解が深まり

回復のために乗り越えるべき課題が見えてくるんだよね。

 

 

③具体的なアドバイスを求めている

私のカウンセリングに来る方のほとんどは

精神科や心療内科を受診したことがある人です。

 

そして、ほとんどの人がお話しされるのは

「具体的なアドバイスが欲しいんです」

という言葉です。

 

「病院の先生は話を聞いてくれるだけ」

「体重を見て入院しか提案してくれない」

「何を食べていいのか聞いても、食べられるものとしか言わない」

とかね。

 

だから、私はできるだけ今日からできる具体的なアドバイスを提案します。

 

例えば、朝昼晩のメニューを見て

ご飯を100g増やしましょう〜とか

 

超拒食の人には、調味料を許すことから始めましょう〜とか

 

運動メニューも、このメニューを10分短縮することから始めない?とか

 

生活習慣が乱れている過食症の人には、

1日のスケジュールと食事内容を30分単位、カロリー単位で提案したり。

 

超具体的にアドバイスするようにしています。

 

一番大切にしているのは、クライアントさんにとって納得できる提案か?という点です。

 

納得できないと、行動は変わりませんから。

 

だから、いろんな提案をしてみて、

あーでもないこーでもないと話しながら

二人で決めていきます。

 

また、ここは知識が必要な領域なので、

私もエビデンスを持って提案できるように日々勉強しています。

 

カウンセリング中の心がけ

1|傾聴より問いかけ

共感や傾聴は、信頼関係構築のために必要ですが、

回復のためにはその先の「問いかけ」が大切だと思っています。

 

つまり、よくカウンセリングで大切とされる

傾聴や共感だけでは弱いんですよね。

 

もちろん、私も基本的には心得ます。

 

ただ、私が大切にしているのは、

「話を要約し、問いかける」ということです。

 

 

問いかけることによって、さらにクライアントは自分の本音に気づき、言葉に出しやすくなりますから。

 

要約と問いかけは、カウンセラーの腕が試されるところでもあるので、つまりスキル的な面が大きいので、私も日々高められるように練習しています。これは経験あるのみですね。

(私はカウンセラーになる前は、取材ライターをしていたので、ここで取材のスキルが役に立っているな〜と感じます)

 

2|本音で答える

摂食障害さんが会話で相手に求めているのは

当たり障りのない言葉ではなく、

本音なんですよね。

 

きっと、皆さんが病院に行ってイライラするのは

先生の本音が見えないからではないでしょうか。

 

だから、私もカウンセラーとして接しながらも

一人の人間としての感想も大切にしています。

 

だから、時々あえて耳の痛い話をすることもあります。

 

例えば

「お母さんに察して欲しい気持ちもわかる。でも、お母さんに気持ちをわかって欲しいのであれば、言葉で伝える必要があるよね」

「過食嘔吐が意思でコントロール出来ないのもわかる。でも、過食嘔吐を治したいなら、どこかで嘔吐をしない前提で食事をする必要があるよね」

「治したいと言っているのに、なぜ積極的に食べていけないんだろう?」

とか。

 

人によっては、そこを苦しいと感じると思うのですが、

正直、綺麗なことを言っていても治らないんですよね。

 

言い方には非常に気をつけますが、

回復するために必要な言葉として

捉えてくれたら嬉しいな。

 

3|深刻さの中に、笑いを

カウンセリングがリラックスして、

本音がこぼれることが大切だと思っています。

 

基本的に、カウンセリング内容は深刻です。

涙で言葉が詰まることも多いです。

私も目頭が熱くなることもあります。

 

でも、それだけでは重すぎて気持ちがもたないって思うことも多々あります。

 

だから、私はフランクな笑いが起きる瞬間や

本音を打ち明けてくれない時は砕けた表現を使いますよね。

これはテクニック的な話にはなるのですが…

空気は読みますが、あえて「マジで?」とか、「ありえない〜〜!」とか

普通の友達と話すような相槌をあえてすることもあります。

 

時と場合によるんですけど、

基本的には、深刻な時ほど笑いでリラックスを〜という考えを大切にしています。

深刻になったからといって、問題は解決しませんから。

正しさより、楽しさの方が、人は動かされますから。

 

そんなことを考えながら、いつもカウンセリングをしています。

 

私と話す中で、たった一つでも回復につながるヒントを得られたらいいな〜と思ってます。

 

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