「拒食からの回復期」の食事や生活面です。
今回は拒食からの回復期についての基本の心構えと治療・行動目標についてお話しします。
拒食回復期・回復期過食の定義は?
まず、みなさんよく「拒食回復期」や「回復期過食」という言葉を使用しますが、回復期は医学的に明確な基準はありません。
ただ、私の考えで定義してみると
「低体重からの回復し、生理が来て、空腹と満腹に従って食べられるようになるまでの状態」だと思います。
拒食回復期の過食と過食症の違いを整理すると
【拒食回復期】
・低体重から生理が復活し、食事が3食安定して食べられるまでの状態(嘔吐のない状態に限る)
・原因:飢餓状態からの生理的な欲求
【過食症】
・生理が復活しBMI22〜25に達しているにもかかわらず、食欲が安定せず、過食がほぼ毎日続く状態
・原因:自分の体型を受け入れることができず、痩せたい気持ちが強い。痩せたい気持ちの裏で、本当に達成したい問題に向き合えていない
ただ、対処法は一緒で、基本の三つの原則としては、「3食のトレーニング+普通体型を受け入れる+抱えている問題に向き合い解決していく」ということになります。
低体重⇨健康体重までに大切なこと
では、低体重から健康体重までに大切になる基本的な考えを「治療・生活・食事」お話しします。
治療編
目標:どんな自分でも丸ごと受け入れる
壮大な目標ですね(笑)
これは、体型も性格も境遇も、すべてありのままの自分を受け入れるということです。
理想や憧れがあっても、現時点の自分を自己否定することなく過ごせることを目指していくといいでしょう。
【取り組むこと】
・摂食障害になった原因に向き合う
・向き合いたくない問題に出くわしても食事で解決しない
・自分の気持ちを言葉に出して伝える練習をする
回復期は拒食期よりも落ち込みが激しくなり、鬱傾向になる方も珍しくありません。
拒食期は体の治療がメインだったと思いますが、回復期はなるべく心を中心に治療することが望ましいでしょう。
生活編
目標:「痩せていなくても大丈夫」と思える心を育てる
摂食障害になるとダイエット100%の生活になります。
つまり、生活の喜びがすべて「痩せること」につながることだけになっているんですよね。
だから、回復の過程で「痩せること以外で幸せを感じられるようになること」が一番大切です。
そうしないと過食ばかりに時間を使うようになり、健康体型になっても「痩せることにつながる行動以外どう過ごしたらいいかわからない」という状態になり、さらに体型も受け入れられず、気持ちは拒食の頃よりも穏やかではなくなります。
【取り組むこと】
・痩せること以外の心満たされる時間の使い方を見つける
・健康になりたい声を育てる
・社会とのつながりを持つ
特に社会とのつながりを途絶えさせないことが大切です。
拒食になると学校に行けなくなったり休職したりしますが、
たまに先生に会いにいく、人事と話す機会を設けるなど
何かしらのつながりを持ち続けることが大切です。
地域によっては、自助グループなどを利用するのも手です。
なぜなら、よくあるパターンが「健康体型になった自分を周りの人に見せるのが恥ずかしい」と思い、体は健康になったのに、心は健康体を受け入れることができず、他者との関わりをさけ、社会復帰が遅れるケースです。
私はまさにこのパターンでした。
これは、いきなり学校に復帰しろとか、復職しろという意味ではありません。
家族以外の親戚や、友達、ショッピング、通院など、ふつうに社会の人たちの目に触れる行動でいいです。
家の外に出る機会をときどきは持てるようにした方がいいでしょう。
食事編
目標:「空腹と満腹を感じられるようになる」
摂食障害さんが食事がうまくできないのはすべて「食欲に従って食べることができないこと」が原因です。
だから、カロリーを気にして食べたり、満腹がわからず過食し続けてしまうんですよね。
【取り組むこと】
・3食のリズムを大切にする
・お菓子を食事がわりにしない
・マイルールをなくしていく
食事は健康体重になるまでに、できるだけマイルールをなくすことをお勧めします。
そうしないと、「体は健康なのに、心は拒食のまま」や
「普段は質素な食事なのに、過食になるとジャンクに走る」という習慣がついてしまいます。
これらは基本的な考えで、人それぞれ原因や状況によって向き合う問題は変わってくるでしょう。
特に家族関係や職場での人間関係でトラブルを抱える場合は、そこに向き合うことが1番の回復につながります。
自分がまず何に向き合うべきか。
それを明らかにする場が「治療」の場だと思うので、自己流で行き詰まっている方がいるのであれば、一度病院なりカウンセリングなりを受けられることをおすすめします。